公務員の副業解禁の流れが大きくなっています。
いずれ副業解禁されるのは確かでしょう。

では、いつから公務員の副業が解禁されるでしょうか。

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すぐに公務員に副業解禁される?

具体的な動きの一つが兵庫県神戸市の新制度や奈良県生駒市の新基準の制定、そして「未来投資戦略2018」の閣議決定などです。
この解禁を具体化している自治体も増えています。

https://www.youtube.com/watch?v=Q93nDxG_cX4

国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める。(「未来投資戦略2018」p.108)」

政府の「未来投資戦略2018」にも明記されたことから、公務員の副業解禁が話題になりました。
しかし、すぐにどれだけ解禁されるかは不透明で、さらに通常言われるような営利活動である「副業」の解禁は難しいと言わざるを得ません。

すぐには公務員の「副業」は解禁されない

収入を得るために携わる本業以外の仕事、という意味での副業は当分は考えられません

なぜなら、平成29年6月の第193回国会質問主意書質問第397号「公務員の副業に関する質問主意書」とそれに対する答弁第397号「衆議院議員井坂信彦君提出公務員の副業に関する質問に対する答弁書」 の存在があるからです。

公務員の副業に関する質問主意書

確認したいのが第193回国会質問主意書質問第397号「公務員の副業に関する質問主意書」とそれに対する答弁第397号「衆議院議員井坂信彦君提出公務員の副業に関する質問に対する答弁書」の内容です。

【質問及び答弁の概要】

○質問
一 政府として、公務員の兼業・副業に対して、現在、また、将来的な見通しについてどのような見解を有しているのか。
二 政府として、地方公務員の兼業・副業に対して、現在、また、将来的な見通しについてどのような見解を有しているのか。
○答弁
一及び二について、
兼業の制限については、今後も現行制度の下で適切な運用が行われる必要があると考えている。

はっきりと、現在また将来的な見通しについて、今後も現行制度の下で適切な運用が必要、と政府として答えています。
「今後も現行制度の下で」です。
公務員の兼業・副業に関して今後も制度改正はない、ということです。

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公務員に解禁される「副業」は?

通常の意味での、営利活動である「副業」は当分の間解禁されないでしょう。

ただ、公益的活動等に伴って社会通念上妥当とされる範囲の報酬を得るという意味での副業は、多くの自治体で近いうちに解禁される可能性が高いです。
国家公務員も、この意味での解禁は遠くない将来に解禁されるでしょう。

2019年追記

平成31年3月、上記の意味で国家公務員の副業は解禁されました。
地方公務員についても同様の解禁が進んでいます。

国家公務員の副業解禁

平成30年6月の「未来投資戦略2018」には「副業解禁」について書かれています。

国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める。

(「未来投資戦略2018」p.108 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf

「未来投資戦略2018」では「兼業」の対象を公益的活動等としていることから、営利活動は対象にしていません。
また、「円滑な制度運用を図るための環境整備を進める」のであって、「制度改正」には踏み込んでいません。

それと、 この文言が書かれているのは全157ページの文書のうちのたった2行 、「多様で柔軟なワークスタイルの促進」の一項目としてでしかないことです。
確かに文書に記載されていますが、それが直ちに具体的な施策になるわけではありません。

国家公務員の副業については、公益的活動等が対象であって、営利活動はその対象になっていないのです。

国家公務員の「副業」解禁はほぼない

以上から、少なくとも国家公務員については制度改正はなく、営利活動である副業が解禁される可能性もほぼないといっていいでしょう。

【2019年3月】国家公務員は「副業」解禁済みです

平成31年3月、国家公務員の「副業」は解禁されました。

それまでは国家公務員の副業・兼業許可については「職員の兼業の許可について」(昭和41年2月11日付け総人局第97号、いわゆる「昭和41年通知」)により運用されていました。

これについて「 「職員の兼業の許可について」に定める許可基準に関する事項について(通知) 平成31年3月28日付 閣人人第225号 」によって、「昭和41年通知」に定める「第3 許可基準に関する事項」が明確化、実質的には定義しなおされました。

公益的活動等に伴って社会通念上妥当とされる範囲の報酬を得るという意味での副業はできるようになりましたが、営利企業については副業ができる範囲から完全に除外されました。

「未来投資戦略2018」 のとおり、「国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備」がされ、答弁のとおり「今後も現行制度の下で適切な運用 」がなされました。

「コレジャナイ」感は強いのですが、国家公務員の「副業」解禁はなされたのです。

【2020年12月】人事院に積極的な動きはなさそう

おもち@元官僚系YouTuberさん(https://twitter.com/ex_kanryo_mochi)のツイートです。

https://twitter.com/ex_kanryo_mochi/status/1335184469687300097

やはりそんな話ばかりになっているようです。

上記のツイートは中央省庁の働き方改革のことなので、直接副業解禁のことを言っているわけではありません。

しかし、多くの職員の生命が危険にさらされている状況で、それすら改善していこうとしていないのです。
直接生命に関わるとはいえない副業解禁などはずっと後回しになることでしょう。

地方公務員の副業解禁

多くの自治体で副業に関する新たな制度ができつつあり、拡充されてはいます。
しかし、いずれも公益的活動等が対象であって、営利活動はその対象になっていません

https://www.youtube.com/watch?v=H5kfs-q6Z0k

むしろ、これまで職員が任命権者の許可を不要と判断していたようなものについて、許可を得ることを義務付けるものが多くなっています。
子どもたちへのスポーツ指導などにまで任命権者の許可を求める奈良県生駒市の運用などはこれにあたります。

曖昧であった職員の活動について、明確に把握して管理することが目的と思える状況です。

地方公務員の「副業」解禁はほぼない

これに加えて、地方自治体が完全な独自施策を実施することはほとんどありません。
特に国公準拠が当たり前になっている人事制度で突出した施策はできないでしょう。

国家公務員について営利活動である「副業」解禁が考えられない状況で、特定の自治体の地方公務員だけが解禁される事態は、少なくとも現在の日本ではあり得ません。

地方公務員についても制度改正はなく、営利活動である副業が解禁される可能性もほぼないといっていいでしょう。

【2020年版】地方公務員の「副業」を総務省が後押し

令和2年1月、地方公務員の副業を後押しする旨の通知を総務省が出した、との報道がありました。

総務省が出した通知では、副業をしたくても二の足を踏む職員のために、許可基準を明確化して申請しやすくすることを要請しています。
総務省が副業の環境整備を促す通知を出すのは初めてだとのことです。

地方公務員、副業しやすく 人手不足で初の要請―総務省

 総務省は、副業を希望する地方公務員の後押しに乗り出した。(中略)副業をしたくても二の足を踏む職員が多いのが実情で、分かりやすい許可基準を作るよう求める通知を10日付で出した。
 同省がこうした副業の環境整備を促す通知を出すのは初めて。深刻な人手不足を受け、障害者支援など地域活動の担い手として地方公務員の活躍が期待されていることが背景にある。(中略)

 副業には長時間労働を助長し、普段の業務に悪影響を与えるとの懸念もある。通知は副業先の仕事内容の定期的な確認も要請している。

時事ドットコムニュース 令和2年1月11日(一部省略)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020011000772

支援されるのは、 障害者支援など地域活動の担い手としてです。
副業先の仕事内容の定期的な確認も求められており、「副業」解禁とは程遠い内容となっています。

勤務時間は全体の奉仕者、勤務時間外は地域活動の担い手、まさに滅私奉公です。

公益的活動等の副業解禁はされた

(過去時点での予測です)

ちなみに公益的活動等への副業解禁には、制度改正の必要なく、手続き的には比較的簡単です。

これまで明確に定義されていなかった国家公務員法第104条及び地方公務員法第38条の「報酬」の解釈を変更すれば対応できるからです。
「公益的活動等から受ける対価のうち、社会通念上相当と認められる範囲ものは報酬に当たらない」と解釈すれば、現行制度の下で「未来投資戦略2018」の内容を達成することができます。
必要なのは報酬にあたらない範囲を定めた基準を通知するだけです。

ただし、この方法では、職員の副業従事の状態が把握できないくなる問題はあるのですが。

追記(2019年、2020年)

実際に平成31年3月、通知の形で、許可基準の明確化という再定義をすることで「副業」が解禁されました。
「普通の」行政のやり方でしょう。

社会通念上相当と認められる程度を超える金額を受け取ったら信用失墜行為に該当する、というのは役所的には上手な解決法かもしれません。
ただ、形式的には整合しますが、実質的には不自然な解釈のようにも思えます。

それと、職員の従事状態が把握できなくなることがないように、令和2年1月の通知では、副業先の仕事内容の定期的な確認も要請しています。

抜け道をつくらないような工夫はちゃんとしてあります。
これも「普通の」行政のやり方です。

当分の間は公益的活動への制限緩和程度

国家公務員の副業解禁は、許可基準を明確化したことでなされました。

地方公務員についても、当分の間は一部の自治体でなされている程度の解禁がされていくでしょう。

兵庫県神戸市等公益的活動の制限を緩和した自治体は、当然人事院に照会をかけ、または協議を行っているでしょう。
地方公務員制度を所管する総務省のお墨付きをもらった「独自基準」を制定しているわけです。
総務省が認めてくれた範囲の中でどんどん解禁が進んでいくことになるのです。

公益的活動への制限緩和が、現状では国も地方自治体も納得できる精一杯の解禁ということでしょう。
精一杯の緩和をした以上、それよりも大幅な緩和がされることはありません。

したがって、当分の間は兵庫県神戸市等の制限の緩和程度で「適切に運用」されると考えられます。

公務員の副業がより制限されるおそれも

現状を見れば、期待とは逆に公務員の副業がより制限されるおそれの方が強いのではないでしょうか。
上述の国会答弁で、政府として、現行制度の下での適切な運用が必要としています。
これまで「お目こぼし」でグレーとされていたものがブラックとされ、制限の対象になることすら考えられます。

追記(2020年)

実際に令和2年1月の通知では、副業先の仕事内容の定期的な確認も要請されています。
勝手は許さない、ということでしょう。

すぐに公務員の副業が解禁されることはないが…

収入を得るために携わる本業以外の仕事、という意味での副業が公務員に解禁されることは、当分はないでしょう。

完全に諦めるのも一つの方法です。
準備をしながら、いずれ来る解禁を待つのも一つの方法です。

時代は全体としては副業解禁の方向に動いています。
短期的には副業制限を強めるような動きがあったとしても、長期的には解禁せざるを得なくなるでしょう。

そうであるなら一足先に準備をはじめてもいいのではないでしょうか。
いや、遅れないように、なのかもしれません。

実際に解禁されてから準備をはじめても遅すぎるのですから。

第193回国会 質問第三九七号
公務員の副業に関する質問主意書

 国家公務員法第一〇三条で、国家公務員は営利を目的とする企業や団体の役員等との兼業や自営業ができないと規定されている。同法第一〇四条では営利企業以外の事業の団体についても同様のことを規定して、国家公務員の兼職、副業を禁止している。地方公務員は、地方公務員法第三十八条で同様に兼職、副業が禁止されている。不動産等、いくつかの例外規定はあるが、総務省職員が不動産賃貸の自営兼業をしていたことの承認申請を怠ったことにより、戒告の懲戒処分を受けたり、滋賀県甲良町教育次長が約六年間にわたりテニスコーチをして約八十五万円の報酬を得ていたりなどとして、減給十分の一を三か月、税務課主事に降格などの処分をされた事例も過去には存在する。
 一方で、国や自治体で公務員の副業を可能にする動きも出ている。
 国レベルでの具体的な動きは、刑務所医官の勤務要件について勤務時間内で民間病院との兼業を認めるという形での要件の緩和、公務員の消防団との兼業についての要件の緩和などがある。
 地方自治体レベルでの動きとして、特区制度を利用した兼業規定の緩和のほか、平成二十九年四月に神戸市が副業に関する規定を独自に設けた先進的な事例がある。
 平成二十八年十月二十四日の第二回働き方改革実現会議において、安倍総理は「副業・兼業はオープンイノベーションや起業の手段としても有効である」と発言、同時に世耕弘成経済産業大臣も「柔軟な働き方については、兼業・副業に加え、雇用関係によらないフリーランサーなど、新たな働き方が次々に出てきており、ビジネスの新しい芽になってきている」と述べている。
 兼業や副業に対する動きを加速化させる政府の動きに対して、公務員の兼業や副業について、どのような見解を有しているのか明確にするため、以下の質問をする。
一 平成二十九年三月に経済産業省が「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言」としてまとめた提言では、「この研究会では、兼業・副業を通じて創業・新事業を創出する企業や個人を中心に検討してきたが、まずは公務員が率先して兼業・副業を解禁するべき」という意見に言及している。
  政府として、公務員の兼業・副業に対して、現在、どのような見解を有しているのか。また、将来的な見通しについてどのような見解を有しているのか。
二 三月三日付日本経済新聞朝刊によると、神戸市は職員が公共性のある組織で副業に就きやすくするため、四月から独自の許可基準を設けるという。地方公務員法の規定にもかかわらず、副業推進を目的に自治体が独自の許可基準を設けることは珍しいとされており、神戸市の取り組みは先進事例と言える。地方公務員は地方公務員法と各自治体の人事委員会が決める規則によって、営利企業への従事が制限されているが、政府として、地方公務員の兼業・副業に対して、現在、どのような見解を有しているか。また、将来的な見通しについてどのような見解を有しているのか。

 右質問する。

第193回国会 公務員の副業に関する質問主意書 平成29年6月12日提出 質問第397号

答弁第三九七号

衆議院議員井坂信彦君提出公務員の副業に関する質問に対する答弁書

一及び二について
 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百三条第一項及び第百四条並びに地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十八条第一項の規定は、職務専念義務の履行、職務の公正な執行及び公務の信用を確保する趣旨から設けられたものであり、この趣旨を踏まえ、国家公務員法第二条に規定する一般職に属する職員及び地方公務員法第三条第二項に規定する一般職に属する職員に対する兼業の制限については、今後も現行制度の下で適切な運用が行われる必要があると考えている。

内閣衆質193第397号 平成29年6月20日衆議院議員井坂信彦君提出公務員の副業に関する質問に対する答弁書 平成29年6月20日受領 答弁第397号

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