公務員の副業解禁の流れが大きくなっています。
時代は副業解禁の方向に動いているのは確かでしょう。

その動きを象徴するのが兵庫県神戸市の新制度や奈良県生駒市の新基準の制定、「未来投資戦略2018」の閣議決定などです。
さらに同様の動きをする自治体も増えています。

では、いつから公務員の副業が解禁されるでしょうか。

すぐに公務員に副業解禁される?

「国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める。(「未来投資戦略2018」p.108)」

政府の「未来投資戦略2018にも明記されたことから、公務員の副業解禁が話題になりました。
しかし、すぐにどれだけの副業が解禁されるかは不透明です。

公務員に解禁されるのはどのような副業か

収入を得るために携わる本業以外の仕事、という意味での副業は当分は難しいでしょう。
公益的活動等に伴って社会通念上妥当とされる範囲の報酬を得るという意味での副業は、近いうちに解禁される可能性が高いです。

通常言われるような「副業解禁」は難しいと言わざるを得ません。

それは、平成29年6月の第193回国会質問主意書質問第397号「公務員の副業に関する質問主意書」とそれに対する答弁第397号「衆議院議員井坂信彦君提出公務員の副業に関する質問に対する答弁書」 の存在があるからです。

公務員の副業に関する質問主意書

確認したいのが第193回国会質問主意書質問第397号「公務員の副業に関する質問主意書」とそれに対する答弁第397号「衆議院議員井坂信彦君提出公務員の副業に関する質問に対する答弁書」の内容です。

【質問及び答弁の概要】

○質問
一 政府として、公務員の兼業・副業に対して、現在、また、将来的な見通しについてどのような見解を有しているのか。
二 政府として、地方公務員の兼業・副業に対して、現在、また、将来的な見通しについてどのような見解を有しているのか。
○答弁
一及び二について、
兼業の制限については、今後も現行制度の下で適切な運用が行われる必要があると考えている。

はっきりと、公務員の兼業・副業に対して、「現在」、また、「将来的な見通しについて」「今後も現行制度の下」で適切な運用が必要、と「政府として」答えています。
公務員の兼業・副業に対して法改正はない、ということです。

では、平成30年6月の「未来投資戦略2018」との関係はどうなるでしょう。

報酬を「解釈」するだけで済む

例えば、これまで明確に定義されていなかった国家公務員法第104条及び地方公務員法第38条の「報酬」の解釈を変更すれば対応できます。

「公益的活動等から受ける対価のうち、社会通念上妥当と認められる範囲ものは報酬に当たらない」
と解釈すれば、現行制度の下で「未来投資戦略2018」の内容を達成することができます。
国家公務員法第103条については、人事院規則等を含めて変更の必要がありません。
同第104条については、公益的活動等から受ける対価を「報酬」ではないとすれば、これも変更する必要がありません。
ただ、公益的活動等から受ける対価であると証明させるために、事前に公益的活動等の内容と報酬額を届出させる規則変更が必要になります。
この点、規則変更ですから、国会は通さないで済みます。

もちろん、兵庫県神戸市の新制度等も現行制度下で運用可能です。

当分は公益的活動への制限緩和で運用される

兵庫県神戸市等も、当然人事院に照会をかけ、または協議を行っているでしょう。
地方公務員制度を所管する総務省にも話をしていないわけがありません。
ある意味で根回しは完了しています。

当分は兵庫県神戸市等の制限程度で、「適切に運用」されるでしょう。

公務員の副業がより制限されるおそれも

逆に公務員の副業がより制限されるおそれもあります。
政府として、現行制度の下での適切な運用をが必要としています。
これまで「お目こぼし」に合っていたものが制限の対象になることすら考えられます。

すぐに公務員の副業が解禁されることはない

収入を得るために携わる本業以外の仕事、という意味での副業が公務員に解禁されるのは、当分はないでしょう。

副業を完全に諦めるのも一つの方法です。
準備をしながら、いずれ来る公務員の副業解禁を待つのも一つの方法です。

時代は副業解禁の方向に動いています。
厚生年金との一元化で目の前の破綻はなくなりましたが、年金制度が厳しい状態なのはご存知でしょう。
社会保険料の上昇で可処分所得もあまり増えていません。
消費増税でどこまで社会保障制度が延命できるかわかりません。
むしろ消費増税による景気の冷え込みで財政の方が先に疲弊してしまうかもしれません。

ひと足早く準備を始めてもいいのではないでしょうか。
いや、遅れないように、かもしれません。

第193回国会 質問第三九七号
公務員の副業に関する質問主意書

 国家公務員法第一〇三条で、国家公務員は営利を目的とする企業や団体の役員等との兼業や自営業ができないと規定されている。同法第一〇四条では営利企業以外の事業の団体についても同様のことを規定して、国家公務員の兼職、副業を禁止している。地方公務員は、地方公務員法第三十八条で同様に兼職、副業が禁止されている。不動産等、いくつかの例外規定はあるが、総務省職員が不動産賃貸の自営兼業をしていたことの承認申請を怠ったことにより、戒告の懲戒処分を受けたり、滋賀県甲良町教育次長が約六年間にわたりテニスコーチをして約八十五万円の報酬を得ていたりなどとして、減給十分の一を三か月、税務課主事に降格などの処分をされた事例も過去には存在する。
 一方で、国や自治体で公務員の副業を可能にする動きも出ている。
 国レベルでの具体的な動きは、刑務所医官の勤務要件について勤務時間内で民間病院との兼業を認めるという形での要件の緩和、公務員の消防団との兼業についての要件の緩和などがある。
 地方自治体レベルでの動きとして、特区制度を利用した兼業規定の緩和のほか、平成二十九年四月に神戸市が副業に関する規定を独自に設けた先進的な事例がある。
 平成二十八年十月二十四日の第二回働き方改革実現会議において、安倍総理は「副業・兼業はオープンイノベーションや起業の手段としても有効である」と発言、同時に世耕弘成経済産業大臣も「柔軟な働き方については、兼業・副業に加え、雇用関係によらないフリーランサーなど、新たな働き方が次々に出てきており、ビジネスの新しい芽になってきている」と述べている。
 兼業や副業に対する動きを加速化させる政府の動きに対して、公務員の兼業や副業について、どのような見解を有しているのか明確にするため、以下の質問をする。
一 平成二十九年三月に経済産業省が「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言」としてまとめた提言では、「この研究会では、兼業・副業を通じて創業・新事業を創出する企業や個人を中心に検討してきたが、まずは公務員が率先して兼業・副業を解禁するべき」という意見に言及している。
  政府として、公務員の兼業・副業に対して、現在、どのような見解を有しているのか。また、将来的な見通しについてどのような見解を有しているのか。
二 三月三日付日本経済新聞朝刊によると、神戸市は職員が公共性のある組織で副業に就きやすくするため、四月から独自の許可基準を設けるという。地方公務員法の規定にもかかわらず、副業推進を目的に自治体が独自の許可基準を設けることは珍しいとされており、神戸市の取り組みは先進事例と言える。地方公務員は地方公務員法と各自治体の人事委員会が決める規則によって、営利企業への従事が制限されているが、政府として、地方公務員の兼業・副業に対して、現在、どのような見解を有しているか。また、将来的な見通しについてどのような見解を有しているのか。

 右質問する。

第193回国会 公務員の副業に関する質問主意書 平成29年6月12日提出 質問第397号

答弁第三九七号

衆議院議員井坂信彦君提出公務員の副業に関する質問に対する答弁書

一及び二について
 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百三条第一項及び第百四条並びに地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十八条第一項の規定は、職務専念義務の履行、職務の公正な執行及び公務の信用を確保する趣旨から設けられたものであり、この趣旨を踏まえ、国家公務員法第二条に規定する一般職に属する職員及び地方公務員法第三条第二項に規定する一般職に属する職員に対する兼業の制限については、今後も現行制度の下で適切な運用が行われる必要があると考えている。

内閣衆質193第397号 平成29年6月20日衆議院議員井坂信彦君提出公務員の副業に関する質問に対する答弁書 平成29年6月20日受領 答弁第397号