公務員の副業は禁止といわれるほど制限されています。
しかし、公務員であっても表現の自由は保障されているので、服務上の義務等からの制限はあるものの、本質的には自由に表現することができます。

では、公務員がnote(ノート)を使って副業をすることはできるでしょうか。

未経験から3ヶ月でプロライターの思考力を習得


note(ノート)とは

note(ノート)は、株式会社ピースオブケイクが運営する、テキスト(文章)、写真、イラスト、音楽または映像等の作品を配信できるサイトです。
作成したテキスト(文章)、画像、つぶやき、音声、動画の5種類の「ノート(記事)」をパソコンやスマホから投稿・公開できます。

これだけではブログ等とそれほど変わらないように思えますが、noteには次の2つの大きな特徴があります。

記事の有料公開

noteに投稿するテキスト、画像及び音声のノートについては、無料公開するか有料公開するかを選ぶことができます(それ以外は無料公開のみ)。
有料公開を選択した場合の販売価格は、最低の100円から最高の10,000円(有料会員は50,000円)まで設定できます。

サポート・投げ銭機能

すべての投稿作品に「サポート」という金銭を支払う機能、いわゆる投げ銭機能があるので、無料公開している投稿者にも金銭のサポートをすることができます。

noteはノートを有料で販売でき、さらに直接金銭的なサポートをしてもらうことが可能なため、副業の手段として注目されています。

未経験から3ヶ月でプロライターの思考力を習得

公務員の副業制限とnote

公務員とnoteへの投稿・作品公開

公務員であっても表現の自由は保障されています。
確かに公務員は全体の奉仕者であり、服務上の義務が法定されているので、まったく自由にできるわけではありません。
それでも表現活動自体が禁止されることはありません。

当然、公務員もnoteで作品を投稿・公開することはできます。

公務員の副業制限

公務員は原則として副業が制限されています(国家公務員法第103条第1項、地方公務員法第38条第1項前段)。
例外として、人事院の承認または任命権者の許可を得ることができれば、制限される副業もできるようになります(国家公務員法第103条第2項、地方公務員法第38条)。

ただし、この承認または許可には基準があり、この基準を満たさなければ承認または許可は得られません(人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)及び人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について)。

有料公開を選択した場合

有料公開しようとする場合、人事院の承認または任命権者の許可を得る必要があります。
しかし、noteで有料公開することは許可基準を満たさないため、承認または許可を得ることはできません。

したがって、noteで有料公開した瞬間に国家公務員法第103条第1項、地方公務員法第38条第1項前段に違反したことになり、懲戒処分の対象となってしまいます(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)。

なお、有料公開したにもかかわらず結果的に売れなかった場合であっても、法律に違反することになり、懲戒処分の対象となります。
営利目的であったことは、結果によって変わるものではないからです。

無料公開を選択した場合

無料公開であれば、通常営利目的とは考えられないので、承認または許可が必要な副業には当たらないのが原則です。

したがって、noteに作品を無料公開しても、原則として国家公務員法・地方公務員法に違反することはありません。

サポートは受け取らないほうが安全

noteではサポート機能、投稿者への金銭的な支援をする機能があります。

各記事の下部からサポートをすることもできますし、記事を購入する際に代金にサポート金額を追加することもできます。

公務員がnoteをする場合には、このサポートは受け取らないようにしたほうが安全です。

サポートは寄付か対価か

サポートは、投稿者に対する寄付であって基本的には営利性はないはずです。

しかし、ノートからサポートするか決めることになるので、作品の対価と考える余地もあります。
もし、サポートが作品の対価と判断されれば、有料公開と同様、国家公務員法・地方公務員法に違反し、懲戒処分の対象となります。

最終的には懲戒権者の判断

サポートを寄付と考えたいところですが、作品の対価とする余地も小さくありません。

この点、投稿者である職員がどのように考えていても関係ありません。
サポートが、寄付と作品の対価のいずれにあたるかは、懲戒権者=任命権者が判断することになります。

したがって、公務員がnoteで記事を公開するのであれば、サポートを受け取らない設定にしておいた方がいいでしょう。

報酬にあたるか否かは問題にならない

なお、noteに作品を投稿することは、国家公務員法第104条、地方公務員法第38条第1項後段の話ではありません。
というのも、作品を公開するかどうか、有料公開か無料公開か、販売課価格をいくらにするか等、すべて投稿者が決めることができるので、投稿者が自ら営利企業を営んでいるものと考えられるからです。

したがって、販売の対価やサポートが報酬にあたるかどうかは問題になりません。

公務員がnoteで副業をするには

公務員がnoteで作品を投稿・公開する場合には、無料公開かつサポートを受け取らないことにする必要があります。
つまり、営利目的の副業にはできないということです。

規定上、公務員がnoteで合法的に副業をすることはできません。
どうしてもnoteで副業をしたいのであれば、ばれない工夫とばれたら懲戒処分になる覚悟が必要です。

未経験から3ヶ月でプロライターの思考力を習得