公務員だって社会生活を送っているのですから、不用品を処分することは当然あります。使い続けてくれる人がいるなら、その人に譲ったほうが、捨ててしまうよりずっといいことです。
ゴミにすることもなく、いくらかのお金を得ることもできますから。

ただし、メルカリで売ることが副業とみなされて懲戒処分を受けてしまう、そんなこともないわけではありません。


公務員もメルカリ利用に問題はない

結論からいえば、公務員であっても、不用品をメルカリ等で売ったからといって処分を受けることは通常ありません。
ただ、転売等、はじめから販売目的で購入したものを売れば、懲戒処分の対象となることもあります。

ポイントとなるのは、継続的に売却する意思の有無です。

公務員の不用品の売却と副業制限

公務員であっても財産権は保障されていて、自己の財産をどのように処分しようが原則自由です。
不用品をどのように処分しようと、法律に反しない限り自由にできるはずです。

公務員の副業制限

一方、公務員は全体の奉仕者であって、服務上の義務として一定の制約を受けることがあります。
公務員の経済活動は必ずしも自由にできるわけではなく、国家公務員法・地方公務員法によって制限されています。

特に自ら営利企業を営むことは、人事院の承認または任命権者の許可を得なければ行うことはできません(国家公務員法第103条、地方公務員法第38条)。
これに違反すると懲戒処分の対象となることがあります(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)

自ら営利企業を営むこととは

公務員が自ら営利企業を営むことは、国家公務員法第103条第1項、地方公務員法第38条第1項で制限されています。

「自ら」とは

名義が他人であっても公務員本人がしていると客観的に判断されれば、自ら行っているものとみなされます。
たとえ家族名義(夫名義、妻名義等)であっても、認められるわけではありません。

「営利企業を営む」とは

営利企業を営むこと、つまり事業をしているとされるには,通常、反復継続性と事業的規模の両方を満たす必要があると考えられています。

反復継続性

反復継続性とは、行為が反復継続的に遂行されていることを意味し、必ずしも反復継続した行為は必要なく、反復継続する意思だけで足りるとされています。

事業的規模

事業的規模とは、社会通念上「事業の遂行」とみることができる程度のものとされ、具体的には事業・業態等を考慮して判断されます。

必ずしも明確な線引きがあるとは限りませんが、売上や資産・負債等が大きいほど、取引回数が多いほど事業的規模と判断されやすくなるでしょう。

公務員がメルカリで不用品を売ることは問題ない

以上から、公務員がメルカリ等で不用品を売ったとしても、基本的には国家公務員法第103条・地方公務員法第38条に違反することはなく、懲戒処分の対象となることもないことになります。

不用品の販売は、不用品の数が上限になるので反復継続する意思は基本的には認められません。
仮に金額や取引回数が大きくなって事業的規模になったとしても、反復継続の意思がない以上、営利企業を営むこととは認められません。

自ら営利企業を営むことに該当しない以上、国家公務員法第103条・地方公務員法第38条に違反することもありません。

したがって、公務員がメルカリ等で不用品を売ることには、基本的には問題がないことになります。

不用品でも問題になることも

ただし、いくら不用品であるといっても、未使用品、購入から時間が経っていない品を売る場合には注意が必要です。
また、転売目的で購入した品は、いくら不用品であっても問題になります。

転売目的での購入は、反復継続して売る意思が認められるため、自ら営利企業を営むこととみなされる可能性が極めて高くなります。
また、未使用品や購入から時間が経っていない品は、購入目的が転売だったとみなされるおそれがあります。

国家公務員法・地方公務員法に違反したくないのであれば、転売はもちろん、未使用品等を売らないようにしたほうが安全です。

メルカリでの売却が懲戒処分になった事例

令和元年に、メルカリでを利用していた公務員が懲戒処分を受けた事例が報道されました。

令和元年8月に互助会で購入したチケットを転売した事例が、同12月には自作エアガンを販売した事例が報道されています。

チケットを転売した事例(停職3カ月)

大津市職員が互助会チケット転売 差額でもうけ 

 大津市は8日、転売目的で市職員互助会を通じて水族館の割引チケットを購入したとして、未来まちづくり部の男性主任(30)を、停職3カ月の懲戒処分にした。

 市によると、男性主任は、2月10日から5月27日にかけて、市職員互助会を通じ、1枚あたり900円で販売されている名古屋市内の水族館のチケットを29回に渡り、計1110枚購入し、妻がインターネット上で物品を売買するフリマアプリで1枚あたり約1500円で少なくとも990枚転売した。互助会から福利厚生サービスを委託されている会社から市に通報があり、発覚した。

産経WEST 令和元年8月9日
https://www.sankei.com/west/news/190809/wst1908090011-n1.html

現在ではチケットの転売は違法

「チケット不正転売禁止法(特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)」が令和元年6月14日から施行されています。

この事例はチケット不正転売禁止法施行前のものですし、チケットの正規価格を超えない販売でしたので、同法の適用はありませんでした。

しかし今後はチケットの転売は違法行為となるおそれがあります。

不正転売または不正転売を目的としてチケットを譲り受けた場合には、1年以下の懲役、100万円以下の罰金またはその両方が科せられます。

今後チケットを売り渡そうとする場合には注意が必要です。

転売は営利企業を営むことになりやすい

物品ではなくチケットの転売ですが、安易な転売がどれほど危険かがわかる事例です。

この事例は、公務員本人が約3カ月間に29回1,110枚のチケットを900円で購入し、妻名義で1枚1,500円で990枚以上転売していたものです。
懲戒処分は停職3カ月と相当に重いものとなっています。

購入者は公務員本人でしたが、転売は妻名義にしています。
自ら行ったことにならないようにしたか、単純にばれないようにしたか、いずれかは不明ですが、隠ぺい工作であることには違いないでしょう。
隠ぺい工作をしているということは、その行為が問題のあるものだと自覚していたことを表しています。
少なくともそのように映るでしょう。
隠ぺい工作のせいで、処分がより重いものになった違いありません。

反復継続性は明らかです。
規模は999,000円の仕入で1,485,000円以上の売上、送料等を考慮すると40数万円の利益だったと考えらえます。
それほど大規模ではありませんが、事業的規模といっていいでしょう。

以上から、任命権者の許可を得ずに自ら営利企業を営んだとして、懲戒処分を受けています。

公務員はメルカリで転売してはダメ

同情するわけではありませんが、あまりにもったいないことです。

30歳の主任ですから、やりようによってはいくらでも将来があったはずです。
しかし、停職3カ月と重い処分を受けてしまった以上、今後の公務員生活に希望はあまり残されていません。

昇給は遅れますし、昇進はあり得ません。
抜群の能力があれば実績を重ねることができるかもしれませんが、むしろ能力や実績への周囲の嫉妬のせいで仕事はできなくなるでしょう。
そもそもチャンスがある仕事を回してもらえなくなっています。

問題職員として昇給も昇進も遅れ、問題職員として30年以上過ごすのです。
飼い殺し、ソフトな地獄です。

抜け出すには転職しかありませんし、その方がいいでしょう。

公務員はメルカリで転売をしてはいけません。
公務員人生が台無しになります。

自作エアガンを販売した事例(減給1/10(3カ月)

副業で自作エアガン販売 主査を処分 うきは久留米環境施設組合

 福岡県うきは市と同県久留米市でつくる「うきは久留米環境施設組合」(組合長=高木典雄うきは市長)は13日、副業などを禁じた地方公務員法に違反したとして、男性主査(45)を同日付で減給3カ月(10分の1)の懲戒処分にしたと発表した。上司の事務局長(62)も管理監督不十分で文書訓告とした。

 同組合によると、主査は2017年1月から19年11月にかけて、部品や中古品を購入して製作したエアガンなど169点をインターネットのフリーマーケットアプリで販売し、約260万円を売り上げたという。勤務中にもスマートフォンで取引を行っていた。取引内容を同僚に話して発覚した。主査は「副業がいけないという認識がなかった」と事実を認めている。
 高木組合長は「市民に心からおわびするとともに、公務員としての意識を高めるため職員研修を行いたい」とコメントした。

 同組合は、うきは市と久留米市田主丸町のごみやし尿の共同処理を行っている。(糸山信)

西日本新聞 令和元年12月14日
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/568099/

他の報道では、この職員はメルカリを利用していたと伝えられています。
不用品の販売ではなく、材料を購入して販売目的で作成した物品を、約3年間に169回メルカリで販売していたものです。

転売以外も営利企業を営むことになる

転売ではなく、自作した物品を販売したものですが、それでも懲戒処分になった事例です。

この事例は、公務員本人が約3年間に169回自作したエアガンを販売していたものです。
懲戒処分は減給1/10(3カ月)と、チケット転売の事例よりも軽くはなっています。

反復継続性については、中古品や材料を購入して約3年間取引を続けており、単なる不用品の売却ではないことは明確です。

規模は約3年間に169回の取引、約260万円の売上、1カ月当たり4.8回の取引で1回当たり約15,000円の売上です。
決して大きなものではないですが、事業的規模とみなされています。

以上からわかるのは、さほど大きな規模でなくても事業的規模とみなされ、懲戒処分を受ることになることです。

メルカリの取引からばれたのではない

ちなみにいずれの事例もメルカリの取引からばれたわけではありませんでした。

チケット転売の事例はチケットの販売業者の通報から、エアガン販売の事例は同僚に話してしまったことから、それぞれ発覚しています。

メルカリはニックネームの取引や匿名発送等ができるので、取引から本人が特定されることはほとんどありません。

もし、本人たちがもっと慎重に行動していれば、ばれることはなかったかもしれません。
ばれなければ、懲戒処分になることもなかったかもしれません。

公務員はメルカリ不用品を売ることに問題はないが

公務員がメルカリで不用品を売ることに問題はありません。
不用品の売却は継続反復するものではないので、営利企業を営むことではないからです。
しかし、いくら不用品だといっても転売目的等、つまり継続反復的に売る意思があるとみなされるような品を売ることは問題になるおそれがあります。

売上等が大きくなくても営利企業を営んでいるとされることが多く、たとえ少額であっても問題視されることがあります。

家族名義(夫名義、妻名義等)にすれば大丈夫とされることもありますが、実際はそんなことはありません。
ばれればより重い処分の原因となることさえあります。

転売等を考えなければ、公務員にとってもメルカリは実に便利なツールです。
公務員はあくまで不用品を売るという範囲で、メルカリ等フリマアプリを活用すべきなのです。