公務員が株主優待を目的に株式を保有しても、問題になることはほとんどありません。
公務員が株主となることに伴う義務が生ずることもありますが、株主優待を受けることを制限する規定はありません。
ただ、気を付けたいことがいくつかあります。

株主優待とは

株主優待は、株式会社が一定以上のその会社の株式を特定の日(権利確定日)に保有していた株主に対して様々な優待を与える制度です。

株優(かぶゆう)と呼ばれることもあります。

株式の持ち合いを減らし、安定株主を増やそうする財政的な判断から実施されているとされ、日本の上場企業の約1/3が実施している人気の制度です。

株主優待が目的で株式保有している個人投資が多いといわれます。

しかし、株主優待には法令上の根拠はなく、、会社法に定める現物配当規制や配当財源規制を潜脱するおそれや、株主平等原則に反するおそれがあり、問題視されることもあります。

ちなみに、外国では実施している企業はほとんどないようです。
株主優待は日本的な、ガラパゴス的な株主還元の形態なのかもしれません。

株主優待で気を付けたいこと

確定申告が必要になることも

株主優待は、会社から現物をプレゼントしてもらっているので、税金がかかるという意識があまりないかもしれません。
しかし、所得税法は、原則的に個人が会社から受け取ったものはすべて課税される、という考えを取っています。
現物で受け取っているのなら、換算した金額にたいして所得税が課されることになります。

また、株主優待は配当所得ではなく、雑所得として申告しなければなりません。
所得税法基本通達24-2で、株主優待はその会社の利益処分として行われたものでない限り、配当所得にあたらないとしているからです。

法第24条《配当所得》関係
(配当等に含まれないもの)
24-2 法人が株主等に対してその株主等である地位に基づいて供与した経済的な利益であっても、法人の利益の有無にかかわらず供与することとしている次に掲げるようなもの(これらのものに代えて他の物品又は金銭の交付を受けることができることとなっている場合における当該物品又は金銭を含む。)は、法人が剰余金又は利益の処分として取り扱わない限り、配当等(法第24条第1項に規定する配当等をいう。以下同じ。)には含まれないものとする。
(平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26改正)

(1) 旅客運送業を営む法人が自己の交通機関を利用させるために交付する株主優待乗車券等
(2) 映画、演劇等の興行業を営む法人が自己の興行場等において上映する映画の鑑賞等をさせるために交付する株主優待入場券等
(3) ホテル、旅館業等を営む法人が自己の施設を利用させるために交付する株主優待施設利用券等
(4) 法人が自己の製品等の値引販売を行うことにより供与する利益
(5) 法人が創業記念、増資記念等に際して交付する記念品
(注) 上記に掲げる配当等に含まれない経済的な利益で個人である株主等が受けるものは、法第35条第1項《雑所得》に規定する雑所得に該当し、配当控除の対象とはならない。

所得税法基本通達24-2

したがって、公務員が株主優待を受けた場合、その年の雑所得の合計が20万円を超えた場合には確定申告が必要になります。
もちろん、株主優待が年20万円を超えるときだけでなく、他の雑所得と合算し20万円を超えた場合にも対象になります。

また、株主優待券を売却した場合には、売却益を含めて判断することになります。
例えば、18万円分の株主優待お食事券を、金券ショップで25万円で売却した場合には、25万円の雑所得になります。

もっとも、年20万円を超えた株主優待を受けていても、無申告のままの人が多いのも現実です。
株主優待が多額になることは多くはなく、税務署もそれほど厳格には取り扱っていないようです。

ただ、公務員は無申告だったことがばれると面倒です。
株主優待が年20万円を超えたら確定申告をしていくことが無難でしょう。

私鉄株の株主優待には注意

公務員に人気の銘柄に私鉄株があります。
私鉄株の株主優待では、沿線施設の利用優待券や無料乗車券が配布されることがあるからです。
西武鉄道の場合、10,000株以上の株主は電車全線パスがもらえます。

これを使いつつ職場から定期代をせしめていた職員がかつていたそうです。
交通費の不正受給なのですが、問題にならずに勤め上げたそうです。
資産額に比べて随分せこいことをやっていたものです。

もちろんばれれば懲戒処分の対象ですから、絶対にやってはいけません。

報告義務はあっても株主優待は大丈夫

公務員は中立性・公平性が求められるため、株式保有にあたって特別な義務が生ずる場合があります。
具体的には、一部の公務員に株主保有等の報告義務が課されます。
ただ、これらの規定によって株主優待を受けることができなくなる、というものではありません。

本省審議官級以上の国家公務員

本省審議官級以上の職員は、毎年の株取引等についての株取引等報告書を、各省各庁の長等に提出しなければなりません(国家公務員倫理法第7条)。

大株主の国家公務員

また、株式会社の1/3超の株式や特例有限会社の1/4超の株式を保有している国家公務員で、その会社と密接な関係にある職場に在籍している場合には、所轄庁の長等を経由して、人事院に報告しなければなりません(人事院規則14―21(株式所有により営利企業の経営に参加し得る地位にある職員の報告等))。

本省審議官級以上の職員は極めて少数ですし、株主優待のために多くの株式を持つ必要はありませんから、これらはほとんどの公務員には無関係な規定です。
仮に該当したとしても、報告義務が生じるだけで、株式の保有できなくなるわけでもありません。

公務員も株主優待を受けられる

公務員でも株主優待を問題なく受けることができます。

ただ、職場では株主優待の話はしないほうがいいでしょう。
「株主優待」で嫉妬され、「株主」=資産家ということでさらに嫉妬されます。

資産額を聞き出そうとする人や株主優待をたかりに来る人、はっきり言って好ましくない人が寄ってくることもあるでしょう。

楽しみはこっそり、安定した公務員生活を送るための知恵です。

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