公務員の副業は禁止といっていいほど制限されています。
年配者を中心にお金儲けは禁止と思い込んでいる職員も多く、公務員全体としては投資や資産運用に積極的とはいえない状況です。

しかし、実際のところはどうなのでしょう。


公務員の投資は禁止されているどころか

結論からいうと、公務員の投資や資産運用は禁止されていません。
株式もFXも、暗号資産(仮想通貨)も、国家公務員法及び地方公務員法に禁止規定はありませんし、基本的には制限されていません。

不動産投資に関しても、一定規模以上のものについて人事院の承認または任命権者の許可が求められることはありますが、禁止はされてはいません。

制限こそあるものの、公務員も投資や資産運用に取り組むことができます。

公務員の投資の制限

公務員の投資や資産運用が禁止されていないといっても、まったく自由にできるというわけではありません。

当然刑法をはじめとする他の法律に違反することがあってはいけません。
また、公務員の服務上の義務に違反すれば懲戒処分の対象となることにも注意が必要です。

公務員の投資と法律違反

過去に公務員が投資に関連して法律に違反し、有罪となった事例が確かにあります。
代表的なのが収賄事件とインサイダー取引事件です。

収賄事件

かつて株式を使った収賄事件がありました。
「殖産住宅事件」や「リクルート事件」等、有名なものもあります。

公務員は収賄にあたるような行為は絶対にしてはいけません。
職を守る以上に、自分を守るために、絶対にダメです。
特に許認可権を有する職場に在籍している場合には、より一層の注意が必要です。

投資をしていることを職場に隠していると、問題になりそうでも上司や周囲に相談することを躊躇してしまうこともあります。
しかし、公務員が投資をしても基本的には問題ありません。
問題ありそうな相手と関係ができそうなときは、すぐに上司等に相談しましょう。

それこそ、カレンダー一つ、コーヒー1杯から関係がはじまることすらあります。
何らかの見返りを期待するような相手には注意して、慎重に行動してください。

もっとも、昭和の時代ならいざ知らず、令和になってそうそう起こるとは思えませんが、念のため。

インサイダー取引事件

株式のインサイダー取引事件として有名なのが「経済産業省審議官インサイダー取引事件」です。
職務上知り得た内部情報をもとに、妻名義で株式の売買をして利益を得たという事件です。

公務員は職務上インサイダー情報に接する機会があり、自覚なくインサイダー取引をしてしまうおそれもあります。

しかし、インサイダー取引とされると、次のような非常に重いペナルティが科されます。

  • 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科(金融商品取引法第197条の2)
  • 犯罪行為により得た財産について必要的没収・追徴(金融商品取引法第198条の2)
  • 違反者の経済的利得相当額の課徴金(金融商品取引法第175条)

刑罰が重いうえ、利益の没収や課徴金が定められていて、絶対に得しないようになっています。

公務員の投資と服務上の義務違反

公務員が投資や資産運用に関連して懲戒処分になることがあります。
多くが服務上の義務に違反違反したもので、中でも職務専念義務違反と信用失墜行為が多くなっています。

職務専念義務違反

公務員は、全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、かつ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならないとされています(国家公務員法第96条、地方公務員法第30条)。

したがって、勤務時間中に投資に関連した行為、取引や取引の連絡等をすれば、職務専念義務に違反したことになります。

庁内のトイレでスマホから株やFXの注文を出したり、庁内の喫茶室や喫煙室から不動産投資の取引連絡をしたりすれば、明らかな職務専念義務違反になります。

信用失墜行為

公務員は、その職の信用を傷つけ、または職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならないとされています(国家公務員法第101条、地方公務員法第33条)。
信用失墜行為には、職務上の行為はもちろん、勤務時間外の私生活上の行為含まれます。

したがって、投資に関連して公務員に信用失墜行為があれば、国家公務員法・地方公務員法に違反したことになり、懲戒処分の対象となることがあります。

ただ、どんな行為が信用失墜行為にあたるかは必ずしも明確ではありません。
法律違反の行為は当然該当しますが、法律には違反しないものの社会的に批判を受ける行為も信用失墜行為に該当することがあります。

例えば、コンピュータの不適正使用は信用失墜行為にあたるとされます。
職場のパソコンから株取引やFXの注文を出したり、メールで取引連絡をしたりすれば、コンピュータの不適正使用として懲戒処分の対象となります。

また、家族名義で投資をしていた場合も信用失墜行為とみなされることがあります。

さらに、投資が社会的に批判を受けるおそれがあるものだと、信用失墜行為とされることがあるでしょう。

不動産投資で、物件が犯罪に使われたり、ゴミ屋敷になってしまったり、入居者が社会的に望ましくない人であったりすると、大家さんの責任を問う声が上がることもあります。
社会的な批判が出れば当局も何らかの対応をせざるを得ません。

公務員は投資の制限に注意が必要だが

公務員の投資や資産運用は禁止されていません。
制限はあるものの、公務員も投資や資産運用に取り組むことができます。

しかし、公務員は投資や資産運用にあたっていくつか注意することがあります。
収賄にあたるよう行為をしてはいけませんし、インサイダー取引には注意が必要です。
服務上の義務に反するようなこと、特に職務専念義務違反と信用失墜行為にならないようにしなければなりません。

もっとも、注意するといっても、普通に投資や資産運用をしていれば意識しなくてもいいものがほとんどです。
制限があることを理解して行動すれば、公務員もそれほど不自由なものではありません。