公務の株式投資は禁止されない

公務員には副業制限がありますが、株式投資は資産運用・利殖の手段であるとされ、制限の対象ではありません。
預貯金や 国債の購入と同様、公務員が株式投資で稼ぐことに制限はありません。

公務員の株式取引に関する制限

ただし、完全に自由にできるわけではなく、公務員が株式投資をするのには一定の制限があります。

公務の中で、権限の行使の対象となる会社の未公開株を取得すると、たとえ対価を支払っていたとしても贈与に当たるおそれがあります(国家公務員倫理法第3条第3項)。
これに違反すると、懲戒処分の対象になります。

また、株式投資を法人としてすることは、営利企業等の役員との兼務にあたりますから、これは制限されます(国家公務員法第103条、地方公務員法第38条)。

加えて、例えば無登録で他人の資金を有償で運用することやインサイダー取引に該当するような株式取引は禁止されます。
なお、これを行った者には5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科がされます(金融商品取引法第197条の2)。

そして最も問題になるのが、職務専念義務(国家公務員法第101条、地方公務員法第35条)に違反するような場合です。

公務員の株式取引と職務専念義務違反

公務員の株式投資において、現実的に問題になるのは職務専念義務との関係です。
実際、これまで株式投資が原因で懲戒処分になっているのは、勤務中に繰り返し株式の取引を行った職務専念義務違反の事例です。

株式取引は職務専念義務に違反しやすい環境

株式取引は、現物市場の売買立会時間である9時から11時30分まで(午前立会)と12時30分から15時まで(午後立会)が中心となりますが、これは多くの公務員の勤務時間と重なっています。
スマホを使えば簡単に値動きを確認でき、売買注文を出すこともできます。

証券会社間の競争も激しく、スマホアプリもどんどん便利になっています。
現状ではスマホがあればいつでもどこでも、たとえ勤務中であっても取引が可能な環境になっています。

便利になったのはいいのですが、だからといって勤務中の株式取引は職務専念義務違反であり、懲戒処分の対象です。

取引をしなくても職務専念義務違反になることも

また、株式投資に意識が集中してしまい、勤務に支障がある場合も職務専念義務違反にあたります。
特に含み損が膨らんで気が気でなくなるような事態は避けなければなりません。

さらに、勤務時間外の行動でも、勤務に支障をきたすほど注意力がなくなると、これも職務専念義務に違反になります。
睡眠時間を削っての銘柄分析等には注意が必要です。

公務員が株式投資をする現実的な方法

公務員は株式投資をすること自体に制限はありませんが、職務専念義務を守ることが大前提です。
そのためには、取りうる取引のやり方、トレードスタイルは限定されます。

公務員の株式投資は短期取引をしない

職務専念義務の遵守が絶対の公務員にとって、数分程度の取引を繰り返すスキャルピングやその日のうちにポジションを決済するデイトレードは向いていません。
現物市場の売買立会時間が勤務時間と重なっている多くの公務員にとっては、ほぼ実行不可能なスタイルです。

務中に値動きを確認しつつ注文を出すことは明確な職務専念義務違反です。
出張等の移動中であろうと、トイレに行ったついでであろうと、職務に影響を与える行為になりますから、勤務中の株式取引はしてはいけません。

公務員はスイングトレードか自動売買

公務員が裁量取引をするならスイングトレード

公務員にとって現実的な株式投資のスタイルは、数日から長くても数週間程度でポジション保有が終わるスイングトレードです。

スイングトレードでは、勤務時間外に注文し、1日数回程度値動きを確認できればいいので、職務専念義務に違反するおそれはほとんどありません。
また、短期取引では売買手数料等が嵩みがちですが、スイングトレードであれば取引回数が控えられるので売買手数料等のコストも少なくてすみます。
スイングトレードが公務員にとって現実的な選択です。

スイングトレードでは保有期間が比較的長くなることから、逆指値注文を出しておくこと等によって急激な株価変動リスクに備えることが必要になります。

公務員にはシステムトレード(自動売買)も選択肢

システムトレードは、あらかじめ設定した条件どおりに取引を行っていくものです。
設定した条件で自分で売買注文を出すこともできますし、条件に合致すれば自動的に売買中ものを出す自動売買ソフトを使うこともできます。

システムトレード、特に自動売買であれば、職務専念義務違反になるおそれはほとんどありません。
多くても一日に数回、取引の内容を確認して、場合によって取引の条件を変更するだけです。
自動的に売買を繰り返してくれますから、本業で働きながら株式取引で稼ぎ続けることもできるのです。

時間的な制約がある公務員にとって、ほとんど職務に影響を及ぼすことなく株式投資を続けられる自動売買は、強い味方となるでしょう。

公務員に限ったものではありませんが、自動売買は感情に左右されずに取引できる利点もあります。
自動売買では感情の介入する余地はほとんどありませんから、投資で重視される感情のコントロールをしなくてもよくなります。

公務員は勤務中は職務に専念

株式投資をする公務員が肝に銘じなければいけないのは、勤務中は職務に専念することです。

本業のほかに何らかの活動をするのはとてもいいことですが、本業に支障が出ては本末転倒です。
職場にばれて懲戒処分になるようなことは絶対にしてはいけません。