公務員がアフィリエイトを合法的にする方法は、一部を除いてありません。

したがって、大部分の公務員はアフィリエイトをしてしまうと、国家公務員法、地方公務員法に違反してしまいます。


公務員が合法的にアフィリエイトをできるか?

公務員のアフィリエイトは制限されている

公務員のアフィリエイトは制限されています。
アフィリエイトは国家公務員法第103条第1項及び地方公務員法第38条の「自ら営利企業を営」むことに該当します。
したがって、公務員がアフィリエイトをするには人事院の承認または任命権者の許可が必要ですが、現状ではこの承認または許可は取れません(国家公務員法第103条第2項、人事院規則14―8及び人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について、地方公務員法第38条)。

アフィリエイトが合法的にできると解釈できるか?

理論的には、地方自治体によっては任命権者の許可を得られる場合も考えられます。
よほど先進的または個性的な自治体にお勤めの方は確認してもいいかもしれません。
藪蛇になるかもしれませんが。

一部に、公務員のアフィリエイトは合法的にできる、という方もいらっしゃいます。
確かに極々一部の先進的または個性的な自治体については当てはまるかもしれません。

しかし、大部分は合法と解釈していません。
もちろん、遠い将来にはどうなるかわかりませんし、解釈として合法になる余地がないわけではありません。
しかし現状では、公務員のアフィリエイトがばれれば違法行為があったとして懲戒処分の対象になります。

懲戒処分は懲戒権者=任命権者の裁量行為ですから、権利の濫用があった場合以外は裁判所も懲戒権者の判断を肯定します。
訴訟で救済されるのは懲戒免職が権利の濫用に当たるとされる場合だけで、それ以外は懲戒権者の判断が優先されるでしょう。

そもそも裁判を勝ち抜くだけの収入があるのなら、公務員を辞めた方が絶対にいいです。その収入がアフィリエイトによるものであれば、今すぐ専業で行くべきです。

公務員はアフィリエイトで懲戒免職になるのか?

公務員のアフィリエイトは国家公務員法、地方公務員法に違反しますが、必ずしも懲戒免職になるとは限りません。
というよりも、よほどの悪質性がない限り懲戒免職にはなりません。

人事院の「懲戒処分の指針について」では、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げています。
その中で、自ら営利企業を営むことの承認を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする、としています。
さらに、個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得る、ともしています。

したがって、公務員がアフィリエイトをしていた場合の標準的な懲戒処分は減給または戒告ですが、懲戒権者は個別の事情を考慮して処分の軽重を決めることになります。

懲戒免職になるとすれば、犯罪行為等よほど悪質なことをした場合に限られるでしょう。

アフィリエイトに関する違法行為

懲戒処分の手続きの中で、アフィリエイトに関する違法行為の有無が判断されることがあります。
もちろんアフィリエイト自体は合法なものです。
しかし、犯罪行為につながりかねない危険性があることも事実です。

多くの公務員はビジネス関係の法令に精通しているとは言えません。
の公務員が勉強不足のままアフィリエイトに取り組み、知らぬ間に犯罪行為等をしてしまうことがあります。

アフィリエイトで犯してしまうおそれがある違法行為のうち、代表的なものは次のとおりです。

詐欺(刑法第246条)

詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりする行為、または他人にこれを得させる行為を内容とする犯罪です。
アフィリエイトで詐欺罪に問われるのは、虚偽の事実を伝えて消費者を騙し、利益を得た場合です。

詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりする行為、または他人にこれを得させる行為を内容とする犯罪です。
アフィリエイトで詐欺罪に問われるのは、虚偽の事実を伝えて消費者を騙し、利益を得た場合です。

使ってもいない商品の効果を、さも使ったかのように表示して消費者を騙し、利益を得たのなら詐欺罪に問われることがあります。
また、直接商品の販売をしなくても、消費者を騙して利益を得ているのなら詐欺罪に当たるおそれもあります。

詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役となっています。

刑法第246条(詐欺)
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法第246条

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)違反

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制しています。
優良誤認表示(商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示)及び有利誤認表示(商品・サービスの価格その他取引条件についての不当表示)等の類型があり、これらに違反する疑いがある場合、消費者庁が行政処分を行います。
消費者庁が調査を行い、違反行為が認められた場合には措置命令が出されます。
この措置命令に従わない場合、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科され、情状によっては懲役及び罰金が併科されます。

違反の事実が認められない場合であっても、違反のおそれのある行為がみられた場合は指導の措置が採られます。
事業者が不当表示をする行為をした場合、消費者庁は事業者に対し課徴金納付命令を出すことがあります。

不当景品類及び不当表示防止法第5条(不当な表示の禁止)

事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

不当景品類及び不当表示防止法 第7条

内閣総理大臣は、第4条の規定による制限若しくは禁止又は第5条の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。その命令は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、次に掲げる者に対し、することができる。
一 当該違反行為をした事業者
二 当該違反行為をした事業者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人
三 当該違反行為をした事業者が法人である場合において、当該法人から分割により当該違反行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
四 当該違反行為をした事業者から当該違反行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた事業者

不当景品類及び不当表示防止法 第36条

第7条第1項の規定による命令に違反した者は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

不当景品類及び不当表示防止法

不正競争防止法違反

不正競争防止法の目的は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することです。

不正競争防止法は、不正競争の類型を定義しており、そのうちアフィリエイトで問題になるのは「商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示」と「競合関係にある企業に対する営業誹謗行為」です。

「商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示」は、商品や役務の広告、包装等で、商品の場合はその原産地・品質・内容・製造方法・用途・数量について、役務の場合はその質・内容・用途・数量について、誤認させるような表示をし、又はそのような表示をした商品を販売等する行為をいいます。
これには、虚偽広告、誇大広告だけでなく、根拠なき比較広告、おとり広告も含まれます。

「競合関係にある企業に対する営業誹謗行為」は、自己と何らかの競争関係にある他人の営業上の信用を害するような虚偽の事実を他人に告げたり流布したりする行為をいいます。

アフィリエイトでよく使われる手法に「ランキング形式」があります。
根拠がなければ「根拠なき比較広告」ですし、ランキング下位にされた理由が虚偽であれば営業誹謗行為に当たります。
安易な「ランキング形式」は、不当競争防止法に違反するおそれが極めて高い危険な方法です。

なお、「商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示」に違反した場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金またはこれらを併科されます。

不正競争防止法第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一~十三(略)
十四 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
十五 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
十六(略)

不正競争防止法 第21条(罰則)
1(略)
2 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 不正の目的をもって第2条第1項第一号又は第十四号に掲げる不正競争を行った者
二~四(略)
五 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような虚偽の表示をした者(第一号に掲げる者を除く。)
六、七(略)

不正競争防止法