昭和の時代には給料の手渡しの副業をしていた職員もいたそうです。

(1964年の)東京オリンピック以前には、若い職員の中が日雇い労働に従事していたこともあったようです。
バブルの頃には、宅建持ちの職員が宅建業者に名義を貸していたとも聞いています。
毎月家族でおいしい食事ができるくらいの金額を現金でもらっていたそうです。

紙の帳簿しかない時代でしたし、ずさんな経理の業者も多かったようですから、職場にも税務署にもばれずにすんでいたのでしょう。


公務員が給料手渡しの副業をしていた時代

おおらかで、細かいことを気にしない時代だったのでしょう。
現代からみると正気の沙汰とは思えませんが。

時代は変わりましたが、現在でも現金手渡しの副業をしている公務員がいるようです。
今では懲戒処分になるおそれが大きい行為ですので、すぐにやめた方がいいでしょう。

現金取っ払いも税務署は把握できる

副業公務員は必ず確定申告を

公務員が副業する場合に、気をつけなければいけないのは確定申告です。
副業等で年20万円以上の収入があった場合には、受け取り方法を問わず、必ず申告してください。

現金手渡しで受け取っているからばれない、ということはありません。
受け取った方は現金で受け取って取引が完了したと思うのでしょうが、支払った側はそうではありません。
支払給料として費用計上しますから、台帳に支払先の記載はあるでしょう。
給料を支払ったのですから、源泉徴収の手続きもするでしょう。
所得が500万円未満であれば源泉徴収票の提出はないでしょうが、資料は保存しなければなりませんし、税務署の照会があれば提示しなければなりません。

税務署が調べれば、給料支払いの事実はわかってしまいます。
給料を現金手渡しでしていたことにして、架空経費を計上するのは古典的な脱税手法です。
まずは事実関係を確認するでしょうし、また、簡単に調べることもできます。

マイナンバーも源泉徴収票も関係ありません。
調査官が調べようと思えば調べられます。

そして現金手渡しで受け取った人を数年経ってから調査すれば、調査官の成績稼ぎ完了です。

税務調査が入れば職場にばれる

調査官にとっては成績を稼いだだけでしょうが、調査を受けた公務員は悲惨です。

過年度の所得に対して修正申告しなければならず、その分の所得税の増額に加えて過少申告加算税、場合によっては重加算税を納付しなければなりません。

さらに、所得税額の増加に伴う住民税額の増額があり、その通知が職場に届きます。
複数年の住民税の増額ですから、通常ではないことに職場は気付くでしょう。

副業制限違反に不申告という信用失墜行為が加わり、さらに証拠まで挙がっていますから、懲戒処分を免れることは難しいでしょう。

必ずしもばれるわけではないが

確かに、あらゆる現金取引が調査の対象になるわけではありません。
税務署が掴んだ情報をすべて調査することもできないでしょう。
調査官の成績稼ぎの面もありますから、成績にならないような小口のものであれば見逃されることもあります。
しかし、だからといってばれないと高をくくってはいけません。
万が一にも、ばれてしまえば大きな損失を受けてしまうのが公務員です。
最悪の事態を避けるためにも、年20万円以上の収入があれば、必ず確定申告をしましょう。

公務員の副業は慎重に

公務員の副業は制限されています。
国家公務員は所轄庁の長等の、地方公務員は任命権者の許可がない限り、報酬を得て、いかなる事業または事務に従事することを禁止されています(国家公務員法第104条、地方公務員法第38条)。
従事していたことが当局にばれれば、懲戒処分の対象になります(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)。

当局にばれてしまえばどうしようもありません。
公務員が副業をするなら、慎重に慎重を重ねて行わなくてはなりません。