自分でホームページを作成・運営されている公務員はたくさんいらっしゃいます。
訪問者の多い、有用な情報を提供している方も少なくありません。
これも全体の奉仕者としての社会貢献のあり方の一つといえるでしょう。

ただ、どれほど社会に貢献していたとしてもホームページの作成・運営には費用は自腹で負担しなければなりません。
ホームページで副業ができたら運営費用を捻出することができ、より多くの情報を提供していけるでしょう。
結果としてお小遣いが増えることになったらうれしい、そう考えても罰は当たらないのではないでしょうか。

では、実際に公務員がホームページで副業をした場合にはどうなるのでしょうか。


ホームページでの副業は広告収入が中心

ホームページで副業をして収入を得る場合、その収入の多くは「広告収入」として得ることになります。

広告収入はアフィリエイトから

ホームページ運営者が任意に選択した広告を表示し、訪問者がその広告を経由(クリック)して商品やサービスを購入する等した場合に、広告主から報酬が支払われます。
この仕組みは「アフィリエイト(成果報酬型広告)」と呼ばれ、ホームページに広告を表示させることで広告収入を得ること全般を指すこともあります。

ちなみに、報酬が発生するタイミングの違いにより、成果報酬型(商品の購入やサービスの申込み時で発生)、クリック課金型(広告のクリックで発生)、インプレッション課金型(広告の表示回数によって発生)と分類することがあります。
ホームページに特定のコード(小規模なプログラム)を挿入しておくことで、ホームページやその訪問者に適合した広告を自動的に表示するコンテンツマッチ型広告として分類することもあります。

アフィリエイトをするにはASPが必要

ホームページ運営者と広告主の間に立ち、広告配信システムの提供や成果報酬支払い代行などを行う仲介役となる存在がASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)です。
ホームページ運営者は、ほとんどの場合ASPと契約することで広告配信システムを利用でき、広告収入を受け取ることができるようになります。

公務員はホームページでの副業を制限されるが…

公務員のアフィリエイトは制限される

公務員がホームページで副業をすること、つまりアフィリエイトを行って広告収入を得ることは、国家公務員法第103条第1項及び地方公務員法第38条の「自ら営利企業を営」むことに該当します。

公務員がASPと契約して報酬を得るのですから、 「職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合」にあたり、「自ら営利企業を営むこと」となります( 「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について  第1項関係 3 」 )。

この報酬は労働の対価ではないから、アフィリエイトは制限される副業ではないとする考えもあるようですが、当局はそのような解釈はしていません。

したがって、公務員がアフィリエイトをするには人事院の承認または任命権者の許可が必要ですが、現状ではこの承認または許可は取れません(国家公務員法第103条第2項、人事院規則14―8及び人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について、地方公務員法第38条)。

そして、公務員がホームページで副業をしていることが当局にばれた場合には、懲戒処分の対象になってしまいます。

公務員がホームページで副業してもばれにくい

公務員のアフィリエイトがばれるパターンは大体決まっています。

  • 自分から口を滑らせる
  • 協力者等からの通報
  • 税金関連の通知

そうしたパターンにきちんと対策をしておけば、ばれることはほとんどありません。

善悪の判断はともかく、当局にばれなければ懲戒処分の対象になることはありません。

ばれても懲戒免職にはほぼならない

また、公務員がホームページで副業をしていることがばれても、必ずしも懲戒免職になるとは限りません。
というよりも、よほどの悪質性がない限り懲戒免職にはなりません。

人事院の「懲戒処分の指針について」では、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げています。
その中で、自ら営利企業を営むことの承認を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする、としています。
さらに、個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得る、ともしています。

ホームページで副業をしていることが理由で懲戒免職になるとすれば、犯罪行為等よほど悪質なことをした場合に限られるでしょう。

(ちなみにホームページは、本来はウェブブラウザを起動した時に表示されるウェブページ、または各ウェブサイトのトップページのことをですが、ブログ等を含むウェブサイト全般をホームページと呼ぶこともあります。この点、当ページでは特に断らない限り、ホームページの語を後者の意味で使っています。)