地方公務員の副業については、地方公務員法第38条で制限されています。
職員は、任命権者の許可を得なければ、営利企業の役員等になったり、自ら営利企業を営んだり、報酬を得ていかなる事業・事務にも従事してはならないとされています。 厳密に言えば、少額であっても、収入を得る意図がなかったとしても、アフィリエイト収入があれば公務員の副業制限に違反し、懲戒処分の対象です。
懲戒処分があれば生活が一変してしまいます。アフィリエイトの副収入がばれないような対策が必要です。
目次
副業を合法的にしやすい自治体がある?
しかし、詳細については自治体が定める条例や規則に基づいて行われますので、自治体ごとに判断が異なることがありえます。
任命権者の許可についても、得やすい自治体もあればそうでない自治体もあるでしょう。
この点、多くの自治体の条例や規則は似たような内容になっていますが、特徴的なものとなっている自治体も一部にはあります。
広島市職員の副業は
公務員の副業について公的に見解を出しているものがあります。
その一つに広島県広島市「知りたいときは よくある質問と回答」があります。
「知りたいときは」は、広島市ホームページの利用者を目的に応じた事業のページへ案内するために設けられています。
その中の「よくある質問と回答」は、市民等から寄せられるよくある質問とその回答について、分野ごとにまとめて掲載しています。
その一つとして、「市の職員は副業をしてはいけないのではないですか。」という質問とその回答のページが設けられています。
少々長くなりますが引用します。
広島市 よくある質問と回答
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1212725705424/index.html
市の職員は副業をしてはいけないのではないですか。(FAQID-2313・2314・2395・2397)
・地方公務員法第38条では、職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員等になったり、自ら営利企業を営んだり、報酬を得ていかなる事業・事務にも従事してはならないとされています。
・よって、任命権者の許可を受けなければ、職員が副業を行うことはできません。
・許可の基準は本市の規則(広島市職員の営利企業への従事等の制限に関する規則)で定められており、次の両方に該当する場合を除いては、許可してはならないとされています。
1 職員の職と当該営利企業との間に特別な利害関係がなく、かつ、その発生のおそれがない場合
2 その職員の職務の遂行について支障がなく、かつ、その発生のおそれがない場合
これは、地方公務員法第38条及びこれを受けた「広島市職員の営利企業への従事等の制限に関する規則」に沿ったもので、これだけを読むと、広島市職員の副業は難しそうな印象を受けます。
「広島市職員の営利企業への従事等の制限に関する規則」(http://www.city.hiroshima.lg.jp/kikaku/houki/reiki_int/reiki_honbun/r500RG00000213.html)
広島市職員の副業にかかる許可の基準
広島市職員の副業にかかる許可の基準を定めているのが「広島市職員の営利企業への従事等の制限に関する規則」です。
これと他の自治体の「 職員の営利企業への従事等の制限に関する規則 」を比較すると、一つの特徴がわかります。
広島市の副業の許可
広島市職員の副業については、 次のように定められています。
- 任命権者の許可を受けなければ、職員が副業を行うことはできない(地方公務員法第38条)
- 次の両方に該当する場合を除いては、許可してはならない(許可基準・「広島市職員の営利企業への従事等の制限に関する規則 )
- 1 職員の職と当該営利企業との間に特別な利害関係がなく、かつ、その発生のおそれがない場合
- 2 その職員の職務の遂行について支障がなく、かつ、その発生のおそれがない場合
つまり、 広島市職員の営利企業への従事等の制限に関する規則 に定める許可基準を満すことで、任命権者の許可を得て副業をすることができるようになります。
広島市の許可基準の特徴
許可基準について、他の多くの自治体では1及び2のほか、「法の精神に反しないと認められること」や「全体の奉仕者たる公務員として妥当であること」等も求めています。
一方、広島市ではこれを要求していません。
文言だけで考えれば、他の多くの自治体のように「法の精神に反しないと認められること」や「全体の奉仕者たる公務員として妥当であること」が求められず、特別な利害関係がなく、職務遂行に支障がなければ、副業についての任命権者の許可が得られることになりそうです。
ちなみに地域貢献応援制度で話題になった兵庫県神戸市も、文言上「法の精神に反しないと認められること」や「全体の奉仕者たる公務員として妥当であること」を規定していません。
なお、公務員の副業にかかる先進事例とされる神戸市の地域貢献応援制度は、「営利企業への従事等の制限に関する規則」第3条第1項の副業の許可基準ではなく、同条第2項に別途規定されています。
営利企業への従事等の制限に関する規則第3条第2項
神戸市 営利企業への従事等の制限に関する規則 https://www1.g-reiki.net/city.kobe/reiki_honbun/k302RG00000272.html
神戸市が公益上の目的から出資その他の方法によつて助成する団体について,監督又は助成上必要があると認められる場合に限り,任命権者は前項の規定にかかわらず,職員が法第38条第1項及び前条に規定する役員の地位を兼ね又は報酬を得て当該団体の事業若しくは事務に従事することを許可することができる。
広島市職員は副業がしやすいか?
「広島市職員の営利企業への従事等の制限に関する規則」は、職員の副業に「法の精神に反しないと認められること」や「全体の奉仕者たる公務員として妥当であること」を求めておらず、特別な利害関係がなく、業務遂行に支障がなければ、副業にかかる許可が得られそうです。
だからといって、特別な利害関係がなく、業務遂行に支障がなければ、どんな副業であっても許可されわけではありません。
現実的には、法の精神に反していたり、全体の奉仕者たる公務員として妥当でない副業を任命権者が許可することはないでしょう。
ただ、任命権者は文言にしていない以上、「法の精神に反する」や「全体の奉仕者たる公務員として妥当でない」といった抽象的な理由で不許可とすることもできません。
理屈の上では、個々の副業の内容を個別具体的に判断して、許可するか否かを判断することになります。
個別の判断による部分が大きくなることから、必然的に任命権者の影響が大きくなります。
もちろん、個別の判断を任命権者自身がするわけではありませんが、少なくとも任命権者の意向が影響することになるでしょう。
任命権者が職員の副業に積極的であれば、職員ができる副業の範囲は拡大していくでしょう。