公務員が趣味でユーチューブ(YouTube)に動画投稿をするのに特別な許可入りません。
公務員も国民ですから、表現の自由が保障されています。

ただ、表現の自由があるといっても無制限ではありません。
表現の自由にも制約があり、どんな動画でも勝手に投稿できるわけではありません。
また、全体の奉仕者ですから、服務上の制限があることにも注意が必要です。


ユーチューブ(YouTube)への投稿は自由

公務員の動画投稿を直接制限する法令はありません。
日本国民は表現の自由が保障されていますから、動画投稿を禁止されることはありません。

日本国憲法第21条(表現の自由)
  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

日本国憲法

仮に動画投稿を一切禁止する内規があったとしても、裁判では否定されるでしょう。

動画投稿が違法行為になることも

しかし、どんな動画でも自由に投稿できるわけではありません。
特に動画投稿が違法行為となる場合がありますので、注意が必要です。

著作権侵害

著作権は文化的な創作物を保護の対象とする権利です。
著作権の対象となるのが著作物で、著作物を創作した人が著作権者です。

著作物にあたるのは

  • 音声と映像の作品(テレビ番組、映画、オンライン動画など)
  • サウンド レコーディングおよび楽曲
  • 執筆された作品(講義集、記事、書籍、楽譜など)
  • 視覚的作品(絵画、ポスター、広告など)
  • ビデオゲーム、コンピュータ ソフトウェア
  • 演劇作品(劇、ミュージカルなど)

等です。

著作権者にはその著作物を独占的に使用する権利があり、他人が著作物を使用できるようにできできるのは、原則として著作権者だけです。
著作権者に無断で、その著作物を使用等した場合には、許諾なく使える場合に該当するときを除いて、著作権を侵害したことになります。

多くの国では、オリジナルの作品を作成して物理的媒体に記録すると、作成者は自動的にその作品の著作権を所有することになります。著作権者は作品を使用する独占権を有します。他の誰かが作品を使用できる権利は、ほとんどの場合、著作権者だけが付与できます。

どのような種類の作品が著作権の対象となりますか?
 音声と映像の作品(テレビ番組、映画、オンライン動画など)
 サウンド レコーディングおよび楽曲
 執筆された作品(講義集、記事、書籍、楽譜など)
 視覚的作品(絵画、ポスター、広告など)
 ビデオゲーム、コンピュータ ソフトウェア
 演劇作品(劇、ミュージカルなど)


アイデア、事実、プロセスは著作権の対象ではありません。著作権法によると、著作権保護の対象となるには、作品に創作性があり、かつ作品が有形媒体に記録されている必要があります。名称やタイトルそのものは著作権保護の対象ではありません。

YouTubeヘルプ 著作権と著作権管理 > YouTube での著作権について > 著作権とは
https://support.google.com/youtube/answer/2797466?hl=ja&ref_topic=2778546

著作権侵害は犯罪

著作権侵害は犯罪です。
著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれの併科、著作者人格権、実演家人格権の侵害等は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはこれの併科となっています。
また、法人等の著作権等(著作者人格権を除く)侵害の場合には、3億円以下の罰金となります。

違法アップロード

他人の著作物を勝手にネット上に公開(アップロード)する行為が違法アップロードです。
公衆によって直接受信されることを目的として著作物の送信を行うことができる権利、簡単にいうと放送やネットでたくさんの人に伝達すること著作者だけができるようにする権利を公衆送信権といい、著作権法で保護されています。

違法アップロードは公衆送信権の侵害にあたり、これに違反すると10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれの併科となります。

名誉棄損罪

公然とある人に関する事柄を摘示し、その人の名誉を毀損した場合には、名誉棄損罪が成立します(刑法第230条)。
法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。

大雑把にいえば、YouTubeの動画で、ある人の社会的評価を下げるような具体的な事柄を指摘して、それが本当だと証明できない場合には名誉棄損罪に問われる可能性があります。

侮辱罪

また、名誉棄損罪と同時に気を付けたいのは侮辱罪です。
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した場合には、侮辱罪が成立します(刑法第231条)。
法定刑は拘留または科料となっています。

こちらは動画で悪口を言ったような場合でも成立します。

自らの違法行為を撮影した動画

子供ならちょっとしたルール違反を競うようなこともあるでしょう。
しかし、大人が、YouTubeを使ってまですることではありません。
暴行しているの現場だったり、超過速度での自動車運転だったり、違法行為は自慢になることではありません。
武勇伝は飲み屋だけにしましょう。

公務員も規約違反には注意

法律違反ではありませんが、YouTubeの規約は遵守しましょう。
規約に違反したせいでせっかくの動画が削除されるのはもったいないですし、アカウント削除なんてことにもなりかねません。
アカウント削除されてからでは遅いのです。

公務員ならではの注意

公務員の地位は身分です。
公務員には服務上の義務が課されており、それは仕事以外の場でもついて回ります

一般人なら許されることも、公務員には許されないこともあります。
服務義務違反が原因で懲戒処分の対象となることもあり得ます。
公務員であることを忘れてはいけません。

収益化はしない

YouTubeから収益を得ると、公務員が制限されている副業に該当します(国家公務員法第103条、地方公務員法第38条)。
YouTubeを収益化するためには人事院の承認または任命権者の許可を得なければならず、これに違反すると懲戒処分の対象となることがあります(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)。

信用失墜行為の禁止

公務員は信用失墜行為が禁止されています(国家公務員法第99条、地方公務員法第33条)。

  • 職務の公正性や中立性に疑義を生じさせる
  • 他人や組織を誹謗中傷する
  • 他人に不快・嫌悪の念を起こさせる
  • 他人の権利利益を侵害する
  • 公序良俗に反する
  • 差別的発言等社会規範に反する

等のおそれがある動画は公務員としての資質を疑われるものですから投稿すべきではありません。

信用失墜行為に限界はない

信用失墜行為の怖いところは、その行為をした時点ではなく後から信用失墜行為と認定されてしまうことです。

動画拡散で懲戒処分・減給1/10(6カ月)

駅のホームから向かいのホームに飛び移ろうとした男性が線路に落下する、という映像がワイドショーやニュースで繰り返し放送されました。

大したことのない話でしたが、その男性が奈良市職員だったことから話題となり、ワイドショーなどで大きく取り上げられました。

結局その奈良市職員は減給1/10(6カ月)の懲戒処分となってしまいました。

ホーム飛び移り動画で市職員減給

奈良市の男性職員が、駅のホームから向かいのホームに飛び移ろうとして線路に落ちる動画がインターネット上に投稿され、拡散した問題で、奈良市はこの職員を減給6か月の懲戒処分にしました。

懲戒処分を受けたのは、奈良市道路建設課の30歳の男性職員です。

奈良市によりますと、この職員は、近鉄奈良駅のホームで、およそ3メートル離れた向かいのホームに飛び移ろうとして線路に転落し、はい上がる様子を動画に撮影していました。
この動画は、写っている電車のデザインなどから、おととし10月までの2年ほどの間に撮影されたとみられていますが、先月18日、インターネット上に投稿され、先月末、削除されるまでに200万回以上再生されました。

NHK NEWS WEB 奈良NEWS WEB 令和2年2月17日(抜粋)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/20200217/2050003842.html

録画されたのは入庁前のことでしたし、拡散したのも本人の意思とは関係なかったようです。
にもかかわらず、信用失墜行為だったとして懲戒処分となっています。

問題になったら信用失墜行為です。
しかも懲戒処分の重さは、世間で話題になった程度に左右されます。

動画作成時点では問題がなくても、後から問題になったら信用失墜行為になり、懲戒処分の対象となります。
他にニュースがないような時期に大きく報道され、話題になれば懲戒処分が重くなるのです。

守秘義務の遵守

公務員には職務上の秘密を守る義務、守秘義務が課されています(国家公務員法第100条、地方公務員法第34条)。

職務上の秘密に関する事項は絶対に投稿してはいけません。
不用意に職場等を撮影すると、秘密に属する事項が映りこんでしまう危険があることにも気を付けなければいけません。

職務専念義務の遵守

公務員には職務専念義務が課されており(国家公務員法第101条、地方公務員法第35条)、これに違反すると懲戒処分の対象です。
出張中や残業時間を含む勤務時間中の撮影や投稿、職場のPC等からの投稿は絶対ダメです。

その他の制限

所属や氏名の一部または全部を明らかにして動画投稿すると、所属する組織の見解を示すもの誤解され、一人歩きするおそれがありますから、極めて慎重に行うべきです。

これも問題になったら、後から信用失墜行為とされて懲戒処分となるおそれがあります。

公務員のユーチューブは趣味でも不自由

公務員もユーチューブを趣味で楽しむことはできます。

でも、収益化はあきらめなければいけませんし、さまざまな制限を受けることにもなります。

公務員としてやむを得ないことですが、そうした制限を前提としてユーチューブを楽しみましょう。