地方公務員が株式投資で稼ぐことに法律上の制限はありません。
地方公務員にも副業制限がありますが、株式投資は資産運用・利殖の手段であるとされ、制限の対象ではありません。
だからといって、地方公務員は株式投資のそれほど向いているわけでもありません。


地方公務員は株式投資に向いていない

活きた株式情報が少ない

地方公務員は、仕事の中で株式投資に役立つ情報と接する機会が圧倒的に少ないです。

地方の時代、といわれて久しいのですが、ほとんどの施策は、国が決定したものをそのまま地方自治体が実施しています。
市区町村では現場と補助金ばかりに関心が向いていて、他の自治体と比較する余裕すらありません。
都道府県では補助金の体系で仕事をしていて、国と市区町村の担当者とのやり取りに忙殺されています。

結局仕事の中で国家規模の経済を検討することはほとんどありません。

また、大企業でも中枢ではなく実施部門、本社ではなく地方支社、大企業よりも地域に密着した中小企業と接する機会が多くなります。
人事情報や地域の情報には詳しくなりますが、やはり日本全体を見渡した情報は入りにくくなります。

株式投資に必要な情報を集めようとすると、仕事とは別に努力をしなければなりません。

株式投資に向けられる時間が少ない

しかし、地方公務員は株式投資に充てられる時間が制限されています。

地方公務員の服務上の義務として職務専念義務があり、これに抵触する株式取引は懲戒処分の対象となります。
実際、これまで株式投資が原因で懲戒処分になっているのは、勤務中に繰り返し株式の取引を行った職務専念義務違反の事例です。

勤務時間外の行動でも、勤務に支障をきたすほど注意力がなくなると、職務専念義務に違反になります。
睡眠時間を削っての情報収集のせいで勤務に支障が出てしまうような場合も職務専念義務違反にあたります。

地方公務員が仕事で株式情報に触れることは少ないので、別に勉強しなければなりません。
しかし、その時間の確保が難題です。

地方公務員の勤務時間は世間で言われるほど短くはありません。
毎月100時間を超える超過勤務をしている職員も珍しい存在ではありません。

昇進試験がある自治体も多く、若手職員は職務命令で受験することになります。
しかもそれが上司の成績になりますから、勉強しないわけにもいきません。

さらに、いまだに飲み会参加が仕事の一部になっている部署もあり、どんどん時間が奪われていきます。

そんな中で仕事と別に株式投資の勉強をするのは過酷です。

株式投資と勤務との両立が難しい

それに、当然のことですが、勤務中の株式取引は絶対にダメです。
勤務中の株式取引は職務専念義務違反であり、懲戒処分の対象です。

株式取引は、現物市場の売買立会時間である9時から11時30分まで(午前立会)と12時30分から15時まで(午後立会)が中心となりますが、これは多くの公務員の勤務時間と重なっています。

勤務中に値動きを確認しつつ注文を出すことは明確な職務専念義務違反です。
出張等の移動中であろうと、トイレに行ったついでであろうと、職務に影響を与える行為になりますから、勤務中の株式取引はしてはいけません。

勤務中の株式取引が原因となって懲戒処分となった事例も実際に起こっています。

地方公務員がわずかに有利な点

地方公務員が株式投資で有利なことは、IQが高めなことくらいです。
公務員試験という特殊な選抜方式があるため、公務員はIQが高めな人が多くなっています。
そのおかげで公務員は学習能力が高めで、少ない情報でも効率的に学習できる人が多いのです。

ただ、情報と時間が圧倒的に不足しているので、有利になるとまではいきません

地方公務員は株式投資より不動産投資では

地方公務員の環境は株式投資に向いてはいません。
情報も時間も不足しているハンデを負いつつ、プロのトレーダーたちと渡り合わなければならないのです。

地方公務員はむしろ不動産投資の方が向いています。

地域の事情に詳しく、地域に人的なネットワークがあり、地域での個人的な信用があり、与信枠が大きく資金調達能力がある。
これらは不動産投資に有利な条件です。

向いていないことで足掻くより、向いていることでがんばったほうが賢明ではないでしょうか。