デイトレードは、多くのメリットがある人気のトレードスタイルです。
FX等でデイトレードに取り組んでいる公務員もいらっしゃいます。
ただ、デイトレードは懲戒処分になるおそれもある危険な側面もあります。
目次
公務員のデイトレード
副業が制限されている公務員ですが、株取引やFXは制限されていません。
実際、株取引やFXをしている公務員がたくさんいらっしゃいます。
そんな人気のある株取引やFXですが、これらに関連して懲戒処分を受けている公務員が毎年出ています。
デイトレードのメリットとデメリット
デイトレードは、日を越してポジションを保有することがないように、その日のうちに売買を完結させるトレードスタイルです。
買った株式はその日のうちにすべて売ることになりますし、通貨も日本円等に交換することになります。
そのため、デイトレードには次のようなメリットとデメリットがあります。
デイトレードのメリット
オーバーナイトのリスクを回避
デイトレードにはオーバーナイトリスクを回避できるメリットがあります。
ポジションを保有したまま日を越してしまうと、オーバーナイトリスク、市場が閉まっている間に発生した事件・事故等による相場の変動に対応できないおそれがあります。
しかし、日を越してポジションを保有しないデイトレードであれば、相場が変動しても資金状況に変化はありません。
資金効率の良さ
デイトレードには資金効率が良いこともメリットです。
その日のうちに取引を完結させるので、含み損を抱えることがありません。
そのおかげで日々すべての資金を取引に使うことができ、資金の利用効率は高くなります。
デイトレードのデメリット
一方、デイトレードには次のようなデメリットがあります。
取引手数料が嵩む
デイトレードではその日のうちにポジションを解消することから、取引回数は増える傾向にあります。
そのため取引手数料が嵩み、収益を圧迫することになります。
取引にかかる負担が大きい
デイトレードは短時間での相場の変動を利用して利益を出すものです。
そのためは、相場の動きをある程度頻繁に確認し、タイミングよく注文を出す必要がありますが、その負担は小さくはありません。
IFO注文等、注文方法を工夫することで負担を減らすことはできますが、これにはより高度な知識と経験が求められます。
また、損失が生じる場合であっても、その日のうちにポジションを解消しなければならないので、精神的な負担がかかることもあります。
公務員のデイトレードは実行困難
公務員には職務専念義務が
公務員は、法律・命令・条例等に特別の定がある場合を除いて、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、職務にのみ従事しなければなりません(国家公務員法第101条、地方公務員法第35条)。
この職務専念義務に違反すると懲戒処分の対象となります(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)。
デイトレードと職務専念義務
デイトレードと職務専念義務遵守の両立は容易ではありません。
株取引は株式市場の立会時間(9時~11時半及び12時半~15時)にすることになりますが、この時間と多くの公務員の勤務時間とはほとんど重なっています。
勤務時間中に注文を出したり、値動きを確認したりすれば、職務専念義務に違反することになります。
FXは原則24時間取引が可能ですが、勤務時間中の取引等は職務専念義務に違反します。
また、勤務時間外であっても、深夜まで取引等をすることで勤務に支障が生ずるようになると、これも職務専念義務に違反することになります。
職務専念義務に違反すれば、懲戒処分の対象となります。
実際、勤務時間中に取引等をしていた公務員が懲戒処分になっている事例が多くなっています。
職務専念義務違反は懲戒処分に
勤務時間中に取引等をしたために懲戒処分を受けた事例が報道されています。
株式取引だけでなく、FXも同時期にしていた事例もあります。
勤務中にスマホで株、FX 国税調査官を懲戒処分 4年半で2291回「ほとんど損失」
東京国税局は8日、勤務中にスマートフォンで株取引や外国為替証拠金取引(FX)を計2291回したとして、千葉県内の税務署で資産課税部門に所属する男性国税調査官(35)を同日付で減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にしたと明らかにした。
調査官は平成25年1月~昨年7月、庁舎内のトイレや出張中の電車内で、スマートフォンで証券会社のサイトにアクセスしていた。取引の結果はほとんどが損失でインサイダー取引はなかった。調査官は「自制心が働かずやってしまった」と反省しているという。
平成30年6月8日 産経新聞
https://www.sankei.com/affairs/news/180608/afr1806080026-n1.html
デイトレードとは書かれていませんが、4年半で約2,300回、1日当たり約1.4回、1営業日当たり約2.1回の取引をしています。
取引のほとんどが損失だったようですし、末期には正常な精神状態ではなくなっていたのでしょう。
公務員のデイトレードには強い意志が必要
公務員がデイトレードを実行するには強い意志が必要です。
勤務時間中の取引等は絶対にしてはいけません。
ばれれば懲戒処分の対象になります。
また、勤務時間外の取引等であっても、本業に支障を生じさせないように自制することが必要です。
この場合も懲戒処分の対象となることがあります。
さらに、デイトレードのメリットであるオーバーナイトリスクを回避するために。損失が生じてもポジションを解消する必要もあります。
それができないのであれば、中長期のトレードスタイルに転向したほうがいいでしょう。