公務員が不動産投資をする際に、上限はあるのでしょうか?
よく5棟10室基準や500万円基準等が話題になりますが、本当のところはどうなのでしょうか。

公務員の不動産投資に建前上上限はないが

公務員の不動産投資に上限はありません。
人事院の承認または任命権者の許可を得ることで、上限なく不動産投資をすることができます。

建前上は、です。

現実的には
(1)不動産
  イ 独立家屋の数が5棟以上
  ロ 独立区画の数が10室以上(ここまで5棟10室基準)
  ハ 土地は賃貸契約件数が10件以上(10件基準)
  ニ 娯楽集会、遊技等のための設備を設けたもの
  ホ 旅館、ホテル等特定の業務の用に供するもの
(2)駐車場
  イ 建築物である又は機械設備を設けた駐車場
  ロ 駐車台数が10台以上(10台基準)
(3)賃貸料収入の合計額が年額500万円以上(500万円基準)
(4)(1)又は(2)に掲げる不動産等の賃貸と同様の事情にあると認められる
が上限になります。

公務員の不動産投資の建前

国家公務員の不動産投資

国家公務員は人事院の承認を得た場合に、自ら営利企業を営むことができます。
ただ、この人事院の承認が得られるのは、人事院が定める一定の場合限られます。
一定の場合とは
職員の職と企業との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがない
営利企業に従事しても職務の遂行に支障がないと認められる
法の精神に反しないと認められる
のすべてをを満たすとして人事院が定めた場合です。

より具体的には、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるときです。
(1)職員の職と承認に係る不動産等の賃貸との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがない
(2)不動産の賃貸管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること
(3)その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じない

国家公務員も上記の(1)~(3)に適合すると認められれば、人事院の承認を得て不動産投資を行うことができます。

この(1)~(3)には規模等の基準は入っていませんので、人事院の承認を得るのに規模等は関係ないことになります。

したがって、国家公務員が不動産投資をするのに規模等は関係ない、つまり、国家公務員の不動産投資に上限はないということになります。

国家公務員法第103条(私企業からの隔離)
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
2 前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。

国家公務員法第103条

人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)
人事院は、国家公務員法に基き、職員が官職以外の職務又は業務に従事する場合に関し次の人事院規則を制定する。
1 職員が営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね又は自ら営利企業を営むこと(以下「役員兼業等」という。)については、人事院又は次項の規定により委任を受けた者は、その職員の占めている官職と当該営利企業との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがなく、かつ、営利企業に従事しても職務の遂行に支障がないと認められる場合であって法の精神に反しないと認められる場合として人事院が定める場合のほかは、法第百三条第二項の規定により、これを承認することができない。
2~7 略

人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)

人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について
第1項関係
 1~2 略
 3 「自ら営利企業を営むこと」(以下「自営」という。)とは、職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合をいう。なお、名義が他人であつても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当する。
 4 前項の場合における次の各号に掲げる事業の経営が当該各号に定める場合に該当するときは、当該事業の経営を自営に当たるものとして取り扱うものとする。
一 略
二 不動産又は駐車場の賃貸 次のいずれかに該当する場合
 (1)不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
  イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
  ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
  ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
  ニ 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものであること。
  ホ 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
 (2)駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
  イ 建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場であること。
  ロ 駐車台数が10台以上であること。
 (3)不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
 (4)(1)又は(2)に掲げる不動産等の賃貸と同様の事情にあると認められる場合
三 略
 5 「人事院が定める場合」は、次に掲げる場合とする。
  一 不動産又は駐車場の賃貸に係る自営を行う場合で、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるとき。
   (1) 職員の官職と承認に係る不動産又は駐車場の賃貸との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
   (2) 入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
   (3) その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。
  二~三 略
 6~7 略

人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について

地方公務員の不動産投資の建前

地方公務員は任命権者の許可を得た場合に、自ら営利企業を営むことができます。
ただ、この任命権者の許可が得られるのは、人事委員会規則で定める一定の場合限られます。

人事委員会規則は各自治体の人事委員会が独自に定めることになっていますが、実際はほとんどの自治体が人事院規則の横引きで定めています。

結局のところ、ほとんどの地方公務員は、国家公務員の場合と同様になっています。

したがって、地方公務員の不動産投資に上限はないということになります。

地方公務員法第38条(営利企業への従事等の制限)
職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

地方公務員法

公務員の不動産投資の現実

建前上、公務員の不動産投資に上限はないことになります。
しかし、現実的にはそのとおりにならないことが多いようです。

これは、人事院の承認または任命権者の許可が必ずしも得られないためです。

相続等によって不動産を得た場合には承認または許可を得やすいようです。
また、入省・入庁前に取得した不動産についてその時点で承認または許可を得ることも比較的容易なようです。

しかし、投資不動産を新規取得した場合には、承認または許可を得ることが難しいことがあります。

そのため、承認または許可を得なくてもできる、自ら営利企業を営むことに該当しない規模で不動産投資をすることになります。

その際の基準は人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用についてに定められており、ここではじめて5棟10室基準や500万円基準がでてきます。

公務員の不動産投資の現実的な上限

結局、公務員の不動産投資には現実的な上限があり、その上限は自ら営利企業を営むことに該当しないということになります。

不動産投資が自ら営利企業を営むことに該当するのは次の(1)~(4)のいずれかに該当する場合です。
したがって、不動産投資が自ら営利企業を営むことに該当しないためには、(1)~(4)のいずれにも該当しないことが必要です。

 (1)不動産
  イ 独立家屋の数が5棟以上
  ロ 独立区画の数が10室以上(ここまで5棟10室基準)
  ハ 土地は賃貸契約件数が10件以上
  ニ 娯楽集会、遊技等のための設備を設けたもの
  ホ 旅館、ホテル等特定の業務の用に供するもの
 (2)駐車場
  イ 建築物である又は機械設備を設けた駐車場
  ロ 駐車台数が10台以上(10台基準)
 (3)賃貸料収入の合計額が年額500万円以上(500万円基準)
 (4)(1)又は(2)に掲げる不動産等の賃貸と同様の事情にあると認められる

結局、人事院の承認または任命権者の許可が必ずしも得られないことから、自ら営利企業を営むことにあたらないようにすることが現実的な上限になっているのです。

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