公務員は副業が制限されていて、合法的にできるものは限られています。
ブログをしている公務員はたくさんいて、職業柄文書作成にも慣れているので、公務員はブログに向いているといっていいでしょう。

ただ、そのブログから広告収入を得てしまうと大変なことになりかねません。

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公務員はブログに向いている

公務員はブログに向いています。

ブログは個人的な体験や特定のトピック等をウェブ上に時系列で記録・公開するものです。
ブログには画像や動画があることも多いのですが、基本になるのは文章です。

この点、公務員は職業柄文書作成に慣れていて、文章を書くことに抵抗がほとんどありません。

公務の意思決定は文書でされます。
何をするにも文書をつくらなくてはいけないので、書くことが当たり前の生活です。
毎日のことですから、抵抗感など持つわけがありません。

それに公務員試験から昇進試験まで論文試験は必須なので、技術的にもそれなりに訓練を受けてきています。

文章を書くことに抵抗がなく、技術的にも一定の水準に達している公務員は、職業的としてブログに向いているのです。

公務員の副業は制限されている

公務員は、禁止されているといわれるほど副業が制限されています。

公務員は原則として副業が制限されています(国家公務員法第103条第1項、地方公務員法第38条第1項)。
例外として、人事院の承認または任命権者の許可を得ることができれば、制限される副業ができるようになります(国家公務員法第103条第2項、地方公務員法第38条)。

ただし、この承認または許可には基準があり、この基準を満たさなければ承認または許可は得られません(人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)及び人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について)。

公務員が広告収入を得るのは違法

ブログから広告収入を得ることは、この基準を満たさないので承認または許可を得ることができません。
承認または許可なく広告収入を得れば、国家公務員法・地方公務員法に違反することになり、それがばれれば懲戒処分の対象となります(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)。

ブログから広告収入を得るためには、ばれたら懲戒処分を受けることを覚悟する必要があります。

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公務員が副業で懲戒処分

承認または許可を得ずにブログから広告収入を得ていた公務員が受ける標準的な懲戒処分は減給または戒告です。

国家公務員の場合

人事院の「懲戒処分の指針について」では、代表的な事例を選び、それぞれ標準的な懲戒処分の種類を例示しています。
承認または許可を得ずにブログから広告収入を得ていた場合は「自ら営利企業を営むことの承認を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする」となっています。

もちろん、すべての事案がこのとおりになるわけではなく「個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得る」としています。

以上から、標準的には減給または戒告の懲戒処分となります。

地方公務員の場合

処分の量定は懲戒権者、すなわちそれぞれの自治体の任命権者の裁量によるのですが、制度的には自治体が懲戒処分の指針を定めています。
といっても、人事院の「懲戒処分の指針について」の引き写しです。

それまでにブログから広告収入を得ていた職員が多発していた等、特殊な事情がある自治体でない限り国家公務員と同様の処分になります。

実際に公務員はどうやっているのか

制度的には、公務員がブログから広告収入を得ていることがばれれば懲戒処分になるのですが、実際に処分を受けた職員は多くはありません。

ブログをやっていても広告収入を得ていない職員が多いのですが、そうではない職員もいます。
何か抜け道があるのでしょうか。

公務員の副業に抜け道はあるが

確かに抜け道はあります。
彼らは“上手に”やっているわけです。

家族名義(妻名義、夫名義)で副業

公務員が自己名義でブログから広告収入を得ると国家公務員法・地方公務員法に違反してしまいます。
しかし、家族名義、妻名義や夫名義ですれば、外形的には違反せずにすることができます。

ブログ、広告を配信する業者であるASPとの契約、振込口座等、すべてを家族名義にすることで、形式的には制限をクリアすることができます。

ただ、現実的には困難なこともあります。

公務員は二馬力が多い

公務員は夫婦ともに職業を持っている、いわゆる二馬力であることが多いのが特徴です。
しかも、配偶者も公務員であることが多く、また、副業が禁止されている企業で働いていることも少なくありません。

そもそも独身者にはできない方法です。

だから、公務員は副業を家族名義にできないことが珍しくないのです。

確かに、親名義や兄弟名義、場合によっては子ども名義にすることも考えられます。
でも、親兄弟名義にすると関係が複雑になるおそれがあります。
子ども名義にするのは倫理的に問題があるでしょう。

公務員の場合、家族名義の副業は意外と現実的ではないのです。

ばれたときに問題が大きくなる

家族名義にすればばれないといわれますが、ばれにくくなるというのが正確です。
ばれにくくなる半面、万が一ばれたときに問題が大きくなるおそれがあります。

ブログに収入や活動内容を書き込んでいると運営者ばれること、いわゆる身バレがあり得ます。
身バレがもとで当局の調査が入った時に、すべては家族がやったこと、とは認められないでしょう。

むしろ実態から、発覚をおそれて家族名義にしていたと判断され、より重い処分が下されるかもしれません。

法人化は解決にならない

法人化してしまえば、公務員であっても副業ができるようになると考えるかもしれません。
しかし、これは真っ先にばれます。

自らが法人の役員になることは法律で制限されているので違法になります(国家公務員法第103条、地方公務員法第38条)。
法人の役員になったことは社会保険料から職場にばれてしまいます。

法人の役員を誰にするかで、家族名義にするのと同じ問題が起きます。

公務員の副業を法人化するのも現実的ではありません。

公務員の副業はばれないように

自己名義でも、家族名義でも、結局は公務員が副業を続けるためには、副業をしていることをばれないようにすることが最も重要です。
ブログから収入を得て副業にしようとするなら、次のことに気をつける必要があります。

ブログをしていることがばれない

ブログから広告収入を得ようとするなら、ブログをしていることをばらしてはいけません。
開設当初は、自慢するともなくブログをしていることを話してしまいがちです。

あなたがブログをしていることを周りが知っているのなら、ブログに広告を貼り付けることはやめるべきです。
副業をしていると宣言するようなものです。

ブログから運営者がばれない

あなたがブログをしていることを知らないからといって安心はできません。
ブログに書いた内容等から、あなたが特定されないように慎重になってください。

自分や家族のこと、仕事のことは書き込むべきではありませんし、ものによっては趣味についても書くべきでありません。

画像をのせる場合には自分や家族はもちろん、ペットも避けたほうがいいです。
自宅や職場の近くで撮影した画像は使わないほうがいいですし、埋め込まれたGPSデータも削除する必要があります。

炎上はさせてはいけません。
運営者が特定される危険が急激に上がります。
極端な意見は避け、腰を低くし、丁寧な態度を心がけてください。

仕事の時を思い出し、それよりも腰の低い丁寧な対応を心がけてください。

収入を得ていることがばれない

あなたがブログをしていることも、あなたが運営者であることも、ばれていなかったとしても、収入があることが職場にばれないように注意してください。

収入が年20万円以上になったら確定申告をするのは当然、その際に住民税を普通徴収にすることも忘れてはいけません。
念のため収入の振込口座は給与振込口座と別にしておいてもいいでしょう。

疑いをもたれないように、善良な職員になりきることも重要です。
仕事をまじめにこなし、上司の命令に従い、同僚とも仲良くやっていかなければいけません。
高級品は職場にもっていかないようにするくらいの配慮があってちょうどいいくらいです。

警察沙汰には気を付ける

警察沙汰になると、周辺事情まで調べられることがあります。
その結果副業が職場にばれてしまうと取り返しがつかないことになるおそれさえあります。

公務員の副業は制限緩和されている

公務員の副業制限は緩和されました。
2018年に副業解禁が話題になり、公務員も続くかのように報道されました。

しかし、国家公務員に緩和されたのは公益的活動等から低廉な、社会通念上報酬に当たらない程度の額の金額を受け取るものだけにとどまりました(「職員の兼業の許可について」に定める許可基準に関する事項について(通知) 平成31年3月28日付 閣人人第225号)。

地方公務員もそれほど事情は変わりません。

ブログから広告収入を得るような、営利目的の副業は制限緩和の対象になりませんでした。

公務員の副業解禁されるか

政府等の対応から、営利目的の副業が解禁されることは、当分の間ありません。

解禁されるとすれば、事情が大きく変化したときです。

例えば、給与水準を切り下げざるを得なくなったり、将来の年金が維持できなくなったりするような、公務員給与制度の根幹が揺らいだ時です。
給与や年金だけでは生活が維持できなくなりそうなときに、それを埋め合わせるために副業を認めるということです。

準備不足で解禁を迎える?

近いうちに、公務員の給与制度が崩れるような事態になる可能性は低いでしょう。
しかし、10年、20年という期間で考えれば、ないとは言い切れなくなるでしょう。

もし、公務員の副業が解禁されるとすれば、給与や年金だけでは生活を維持できなくなっています。
何の準備もなしにそうなってからでは遅いのです。

先のことはその時考える、というのは潔い態度かもしれません。
しかし、その潔さに付き合わされる家族はどう考えるでしょう。

だから今すぐ副業をはじめろ、とは言いません。
ただ、準備ははじめていいのではないでしょうか。

公務員であっても、ブログをすることに何の問題もありません。
広告さえ貼らなければ法律に抵触することはありません。

やらない言い訳はいくらでも出てきます。
言い訳ではなく、非常事態への備えをすることが大事なのではないでしょうか。

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