公務員の投資や資産運用は禁じられていませんし、違法でもありません。
ただ、利益が出た場合には確定申告をしなければならないことがあります。
逆に赤字になった場合には申告義務こそありませんが、確定申告をした方がいい場合もあります。
具体的に、確定申告する必要があるのはどのような方でしょうか。
目次
公務員の投資や資産運用にかかる確定申告
確定申告が必要な方
投資や資産運用で確定申告する必要がある公務員は次の方です。
確定申告の義務のある方
- 年間を通して給与所得以外に20万円を超える所得額があった方
判断基準は所得額であって、所得額は収入金額から必要経費等を控除したものです。
所得額=収入金額-必要経費等
ただし、次の方は年20万円を超える所得があっても確定申告をする必要はありません。
- 投資等で株式投資だけをしている場合で、「源泉徴収ありの特定口座」を利用している方
確定申告をするとメリットのある方
年間を通して株式投資、FX及び不動産投資で損失がある方
株式投資やFXでは申告することで損失の繰越控除をすることができます。
不動産投資では損失を給与所得等と損益通算して所得税額を減らすことができます(いわゆる不動産投資の節税効果)。
なお、人気のある仮想通貨(暗号資産)では、損失について損益通算や繰越控除できないことに注意が必要です。
確定申告書の提出期間
令和3年(2021年)分の確定申告書の提出期間は
令和4年(2022年)2月16日(水)から同年3月15日(火)まで
です。
締切に遅れると期限後申告として取り扱われます。
期限後申告になると、原則として申告等によって納める税金のほかに無申告加算税が課されることになります。
公務員の給与の原資の多くが税金です。
不申告は信用失墜行為に該当することもありますし、申告しなかった金額によっては重いペナルティが課されることもあります。
申告は必ず期間内にしてください。
確定申告書の作成
詳細については国税庁のHP等を参照してください。
また、具体的な税額の計算については税理士さんにご相談ください。
確定申告に必要な書類等
自分で用意する書類等
投資や資産運用の詳細がわかる資料
- 株式投資、FX、仮想通貨等:年間取引報告書
- 不動産投資:不動産投資にかかる帳簿等
なお、平成26年1月からは、不動産所得を生ずべき業務を行う人はすべて、記帳と帳簿等の保存が必要になっています。
不動産所得の申告には、知識がなくても複式簿記帳簿が作成できるやよいの青色申告オンラインが便利です。
弥生会計オンラインシリーズで不動産所得をカバーしているのはやよいの青色申告オンラインです。
白色申告であってもこちらを利用することになってしまいます。
給与所得に関する資料
- 源泉徴収票
税務署等から入手する書類等
確定申告書
仮想通貨(総合課税)
- 確定申告書様式A
確定申告書様式Aを使うのは、次の条件を満たす方です。
- 申告する所得が給与所得、先物取引等以外の雑所得、配当所得及び一時所得のみで
- 予定納税がない方
仮想通貨の利益は「雑所得」に区分され、総合課税されるので、確定申告書様式Aを使います。
株式投資、FX、不動産投資等(分離課税)
- 確定申告書様式B
- 申告書(分離課税用)
- 申告書(損失申告用)(損失を繰り越したい方)
株式や不動産の譲渡所得ある方や先物取引の雑所得がある方は、分離課税となるので、確定申告書様式Bと申告書(分離課税用)を使います。
また、損失の繰越控除を受けたい方は、加えて申告書(損失申告用)も使うことになります。
その他明細書等
- 株式投資:株式等にかかる譲渡所得等の金額の計算明細書
- FX:先物取引に係る雑所得等の金額明細書
- 不動産投資:収支内訳書または青色申告決算書
それぞれの投資に対応する明細書等に必要事項を記載して申告書に添付します。
公務員の確定申告書の作成について
確定申告では住民税にも注意
確定申告で気をつけたいのは住民税の徴収方法の選択です。
職場に投資や資産運用をしていることを隠しておきたい方は、職場で源泉徴収される特別徴収ではなく、区市町村から送られてきた納付書を使って自分で納付する普通徴収を選択してください。
確定申告書の第二表の住民税・事業税に関する事項の「給与・公的年金に係る所得以外の所得にかかる住民税の徴収方法の選択」で「自分で納付」に〇をつけると、住民税を普通徴収にできます。
普通徴収を選択する理由
住民税を特別徴収にすれば給料天引きで納税できるので、普通徴収よりも負担が少なくなります。
しかし、特別徴収では同僚より高額な住民税の通知が職場に届くことになり、投資や資産運用が職場にばれることがあります。
住民税の納付を普通徴収にして住民税関係が職場に伝わらないようにすれば、職場にばれる危険を減らすことができます。
投資・資産運用を隠したほうがいい場合
職場に投資・資産運用をしていることを隠したほうがいい場合は次のとおりです。
承認または許可を得ていない場合
不動産投資が事業的規模(投資物件が5棟以上または10室以上等)の場合には、人事院の承認または任命権者の許可が必要です。
この承認または許可をを得ずに事業的規模の不動産投資をしている場合には、職場にばれれば懲戒処分となるおそれがあります。
この場合は住民税の徴収方法だけでなく、職場にばれないように普段の言動等にも注意が必要です。
職場の面倒事を避けたい場合
公務員が投資や資産運用をしていても、制度的な問題となることは多くありません。
しかし、投資や資産運用をしていることがばれると、周囲に嫉妬される等仕事や投資等をを続ける上での障害になることもあります。
こうした面倒事を避けるために、隠したほうがいい場合があります。