公務員も仮想通貨(暗号資産)取引で儲かったら当然その利益に税金かかかり、確定申告しなければならないことがあります。
では、確定申告が必要なのは具体的にどういった場合でしょうか。
目次
仮想通貨(暗号資産)にかかる確定申告
仮想通貨(暗号資産)に関して確定申告が必要な方
公務員で仮想通貨(暗号資産)に関して確定申告する必要があるのは次の方です。
- 仮想通貨を売却、使用または交換することによって年20万円を超える利益を得た方
仮想通貨の売却だけでなく、使用して商品を購入した場合や仮想通貨同士を交換した場合も対象になっていることに注意が必要です。
確定申告書の提出期間
令和3年(2021年)分の確定申告書の提出期間は
令和4年(2022年)2月16日(水)から同年3月15日(火)まで
です。
締切に遅れると期限後申告として取り扱われます。
期限後申告になると、原則として申告等によって納める税金のほかに無申告加算税が課されることになります。
期限後申告になっても悪いことしかありません、確定申告は期間内にしてください。
仮想通貨(暗号資産)にかかる税金
仮想通貨による利益にかかるのは所得税及び復興特別所得税と住民税です。
仮想通貨にかかる所得税及び復興特別所得税
仮想通貨を売却または使用することによって生じる利益については、公務員の場合には原則として「雑所得」として区分され、給与所得等の他の所得と合算して計算される総合課税となります。
したがって仮想通貨取引で損失が生じても、雑所得以外の他の所得と損益通算することも損失を繰り越すこともできません。
また、仮想通貨取引の利益にかかる所得税は、他の所得と合算した所得に最高税率45%の累進税率を乗じて計算されます。
仮想通貨で多くの利益が上がると、より高い税率が適用され、莫大な課税がされることになります。
これは申告分離課税で一律の税率である株やFXとは違う点です。
仮想通貨にかかる住民税
住民税率も株等の5%ではなく、10%の税率が適用されます。
株やFXをしていた方が、思っていたよりも高額の住民税額に驚く、といったことが起こります。
仮想通貨にかかる所得の計算
公務員の仮想通貨による利益は原則として「雑所得」に区分されます。
雑所得は、収入金額から必要経費を控除して計算します。
仮想通貨にかかる所得について
仮想通貨に関する所得は次のように計算します。
仮想通貨を売却した場合
仮想通貨を売却した時点で所得が発生します。
売却した時点の価額から取得価額を控除して所得金額を計算します。
所得額=仮想通貨の売却した時点の価額-仮想通貨の取得価額
仮想通貨で商品を購入等した場合
仮想通貨で支払った時点で所得が発生します。
仮想通貨を売却して得た日本円で商品を購入したのと同じ扱いになります。
そのため、仮想通貨の価格が購入時よりも上がっている場合には、その差額が所得となります。
所得額=商品の取得価額-仮想通貨の取得価額
仮想通貨同士を交換した場合
仮想通貨同士を交換した時点で所得が発生します。
仮想通貨を売却して得た日本円で他の仮想通貨を取得したのと同じ扱いになります。
所得額=取得する仮想通貨の交換時点での価額-手放す仮想通貨の取得価額
必要経費について
仮想通貨にかかる必要経費は、取得価額や取引手数料です。
仮想通貨の取得価額
仮想通貨の取得価額は、原則として「総平均法」で評価します。
ただし、例外として「移動平均法」を選択することもできます。
取得価額の計算については、国税庁HPでダウンロードできる「仮想通貨の計算書」が便利です。
年間取引報告書の購入、売却、手数料等必要事項を入力することで、売却価額、売却原価、取得金額が計算できます。
なお、仮想通貨の税務上の取扱については、国税庁の「仮想通貨に関する税務上の取扱について(情報)」にまとめられていますので、ご確認ください。
仮想通貨(暗号資産)にかかる確定申告書の作成
仮想通貨にかかる確定申告書作成の概要を書いていきます。
なお、詳細については税務署のHP等を参考にしてください。
また、具体的な税額の計算については税理士さんにご相談ください。
不安があるなら専門家に相談を
少しでも不安がある方は専門家に相談するといいでしょう。
国税庁は専門のプロジェクトチームを編成し、仮想通貨に関する税務調査体制を強化するとしています。
適切な申告をしないと、後々問題になるおそれもあります。
仮想通貨にかかる確定申告に不安があるなら、専門家に相談しましょう。
結果的に問題も起こらず、税額も安く済むことになるでしょう。
完全無料の仮想通貨税金計算サービス【CRYPTACT(クリプタクト)】
確定申告に必要な書類等
確定申告ではいくつかの書類を用意する必要があります。
直前になってから揃えようとすると間に合わないこともないとは言い切れません。
計画的に準備を進めましょう。
自分で用意する書類等
- 仮想通貨の交換所が発行する取引明細書等(取引明細がわかるもの)
- 源泉徴収票
税務署等で用意する書類等
- 確定申告書A様式
確定申告書の作成
1 確定申告書様式A 第二表
住所・氏名等必要事項を記入、給与所得に関する事項を源泉徴収票から転記します。
取引明細書等から「〇雑所得(公的年金等以外)・配当所得・一時所得に関する事項」の「収入金額」及び「必要経費等」を転記します。
職場に仮想通貨取引をしていることを隠しておきたい方は、住民税に関する事項の「給与・公的年金に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」で「自分で納付」に〇をつけてください。
住民税が特別徴収(源泉徴収)ではなく、普通徴収になります。
職場を通さず、区市町村から送られてきた納付書を使って自分で納付することになります。
2 確定申告書様式A 第一表
取引明細書等から、収入金額等の雑・「その他」ウに仮想通貨の売却価額を、所得金額「雑」②に所得金額を転記します。
その他給与所得等にかかる収入金額、所得金額及び所得から差し引かれる金額を転記し、「課税される所得金額」21を1,000円未満切り捨てで計算します。
税金の計算
「課税される金額」21と累進税率とから所得税額を計算し、さらに所得税額に2.1%を乗じて「復興特別所得税額」35を計算、これらを合計して所得税及び復興特別所得税の額36を計算します。
これから「源泉徴収税額」38を控除した金額が「収める税金」39になります。
普通徴収を選択する理由
確定申告書様式A 第二表の住民税に関する事項「給与・公的年金に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」で「自分で納付」に〇をつけることで、住民税を普通徴収にすることができます。
これにより住民税について職場を通さず、区市町村から送られてきた納付書を使って自分で納付するようになります
特別徴収にすれば給料天引きで納税できるので、普通徴収よりも負担が少なくなります。
しかし、特別徴収では同僚より高額な住民税の通知が職場に届くことになり、副収入が職場にばれる場合があります。
こうした事態を避けために、住民税の納付を普通徴収にするのです。
仮想通貨取引自体は公務員でも制限されていません。
しかし、公務員、特に高齢職員を中心に仮想通貨を怪しいものと見ている人たちもいます。
そうした人たちとの軋轢を避けるために、職場に仮想通貨取引をしていることを隠したほうがいい場合もあります。
職場の状況に応じて特別徴収にするか普通徴収にするかを選択してください。