公務員の副業がばれて、懲戒処分になったことが報道されるようになっています。
先日も地方公務員が懲戒処分になったとの報道がありました。


地方公務員の無許可副業がばれると懲戒処分

地方公務員が任命権者の許可を得ずに副業をすると、懲戒処分となることがあります。
今回報道された事例は、無許可の副業がとがめられたものです。

霧島市の消防士「デリヘル」送迎で懲戒処分

鹿児島県霧島市の男性消防士が、派遣型風俗店=「デリバリーヘルス」の送迎を行い報酬を受けたとして、懲戒処分を受けていたことがわかりました。

懲戒処分を受けたのは霧島市消防局の40代の男性消防士です。霧島市によりますと男性消防士は2016年におよそ10日、2017年に2日、勤務時間外に「デリバリーヘルス」の送迎を行い、1往復あたりおよそ千円の報酬を受けていたということです。

外部からの指摘で発覚したということで、霧島市消防局は男性消防士を13日付けで、懲戒処分としましたが、「市の指針により処分内容は公表しない」としています。男性消防士は聞き取りに対し「知人に頼まれてやった。反省している」などと話しているということです。

また、男性消防士の上司で50代男性も、副業をおととしの時点で把握していながら、報告を怠ったとして、13日付けで処分されました。職員の不祥事を受け霧島市の中重真一市長は14日の市議会で謝罪しました。
霧島市消防局も「職員の教育を見直し、再発防止に努める」としています。

MBC南日本放送 令和2年2月14日
https://kts-tv.net/news/2595/

公務員が風俗店で副業していたことはニュースバリューがあるのでしょう、報道されることが多くなっています。
ほとんどは女性公務員のケースで、男性公務員のものは稀でしょう。

今回懲戒処分を受けたのは40代の男性消防士です。
風俗店、いわゆるデリバリーヘルス・デリヘルに勤務する女性を送迎して、報酬を得ていました。
1往復につき1,000円ほどの報酬で2年間で計12日程度、知人の依頼でやっていたとのことです。
外部からの指摘で発覚したものですが、霧島市消防局は「市の指針により処分内容は公表しない」としています。
なお、部下の副業を報告しなかった上司も懲戒処分を受けています。

報酬が少額でも懲戒処分

副業というには報酬額が小さいと思われますが、消防士は懲戒処分を受けています。

重要なのは金額の多少ではなく、副業規定に違反したことです。
副業から得ていたのがどれほどわずかな金額でも、任命権者の許可を得ていなければ懲戒処分の対象となります。

副業が派遣型風俗店の送迎だったのは

それに副業が派遣型風俗店の送迎だったことも影響はあったと思われます。

特に報道されていないので、風俗店は違法なものではなかったものと推測されます。
消防士の行動自体が風営法等に違反したものではなかったのでしょう。

営業自体が合法であったとしても、派遣型風俗店は倫理的に認められにくい側面があります。
明言されていませんが、市当局が信用失墜行為と考えたところもあったでしょう。
副業が荷物の配送などだったら、違った判断になったかもしれません。

過去の副業が外部の通報でばれる

今回の事例でわかるのは、過去のことであっても外部の通報からばれてしまうことがあることです。

報道によれば、2016~2017年の副業について、2020年2月になって懲戒処分になっています。
外部からの指摘に基づいて調査し、判断されたものですから、外部からの指摘は2019年の終わりにあったのでしょう。
3年近く前の副業が外部から指摘され、今回懲戒処分になっています。

3年近くも前、重大な犯罪行為でもない限り、そのまま忘れられてしまうことがほとんどでしょう。
しかも今回の事例は、1往復1,000円が12回、決して高額とはいえないようなものです。
日常生活でなら「時効」が成立するのではないでしょうか。

しかし、外部の指摘があると話は別です。
過去の副業であっても外部の指摘でばれてしまい、最終的に懲戒処分になっています。

気になるのは通報者は誰かということ

気になるのは、外部からの通報は誰がしたのか、ということです。

「3年近く前に消防士が副業をしていた」と指摘しても、まともに取り合われることは少ないでしょう。
取り合われるためには、いつ、どこで、誰が、何をしていたのかが明確で、確実に報酬を得ていたと推測できることが必要です。

では、3年近くも前に、いつ、どこで、誰が、何をしていたかを明確に把握し、確実に報酬を得ていたと指摘できるのはどんな人でしょうか

報道ではわからないことが多く、安易な推理で他人に疑いを向けることはここではしません。

ただ、身近な人でなければ指摘できるものではないように思います。

懲戒処分の非公表は恣意的では

霧島市消防局は「市の指針により処分内容は公表しない」としていますが、この発表には疑問があります。

懲戒処分の公表指針について

霧島市は独自基準が定められるほどの力のある自治体ではないと思われます。
そのため公表指針は、人事院の「懲戒処分の公表指針について」に準拠していると考えられます。

「懲戒処分の公表指針について」によると公表対象は次のいずれかに該当する懲戒処分とされています。

  1. 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分
  2. 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職である懲戒処分

ただし、「被害者又はその関係者のプライバシー等の権利利益を侵害するおそれがある場合等」「適当でないと認められる場合は」「公表内容の一部又は全部を公表しないことも差し支えないものとする」とされています。

要するに、適当でないと認められる場合は公表しなくてもいい、となっています。

非公表は恣意的な運用では

「懲戒処分の公表指針について」に照らしてみると、今回の非公表の判断は恣意的な運用だと考えられます。

副業をしていた消防士の懲戒処分

副業をしていた消防士については職務に関連しない行為にかかる懲戒処分です。
「懲戒処分の公表指針について」によれば、減給または戒告であれば公表しなくてもいいことになります。

霧島市が準拠していると思われる人事院の「懲戒処分の指針について」によれば、無許可の副業の懲戒処分は、標準的には減給または戒告です。

具体的な処分内容にもよりますが、副業をしていた消防士については非公表になってもおかしくはありません。

報告を怠っていた上司の懲戒処分

一方、報告を怠った上司については職務遂行上の行為にかかる懲戒処分です。
「懲戒処分の公表指針について」によれば原則公表すべきと考えられます。
確かに、「懲戒処分の公表指針について」には、適当でないと認められる場合は公表しなくてもいいとしています。
しかし、それは公表すると被害者等の権利利益を害するようなケースに認められるものであって、本件ではそのような権利利益の侵害は考えられません。

報告を怠った上司の処分内容を公表しないのは、指針によるものではなく、何らかの判断によるものと考えられます。

今回の事例は意外と複雑かもしれない

今回の懲戒処分の内容を非公表とするのは恣意的な運用と考えられます。
報道機関にもう少し追及してもらいたいものです。

ただ、懲戒処分の内容が非公表になっているのは、何らかの事情があるからかもしれません。

確かに、今回の事例には意味不明なことがあります。

  • 1往復1,000円ほどの副業を40代の消防士が引き受けたこと
  • 副業が3年近く経ってから外部通報で発覚していること
  • 多少無理のある形で処分内容を非公表としていること

合理的には考えられないことです。

今回の事例は見た目以上に複雑な事情があるのかもしれません。