ゲーム実況は動画投稿でとても人気のあるジャンルです。
趣味と実益を兼ねるものとして副業にしている方も多くなっています。
公務員でもゲーム実況をされている方は多いのではないでしょうか。

ただ、公務員のゲーム実況は注意をしなければならないことがたくさんあります。


ゲーム実況自体は問題ないが

公務員であってもゲーム実況は禁止されません。
確かに、ゲーム実況は当局に好感を持たれるものではないでしょう。
しかし、日本国民には表現の自由が保障されていて、公権力はこれを侵害できません。
堂々と表現の自由を主張すればいいのです。

現実的には上司ともめるようなことになってはいけないのですが、ゲーム実況をすること自体は何ら問題のない行為なのです。

公務員は収益化できない

ただし、公務員がゲーム実況を副業にすることはできません。

公開したゲーム実況動画から収益を得ると、国家公務員法・地方公務員法に抵触することになります(国家公務員法第103条第1項、地方公務員法第38条第1項)。

確かに、人事院の承認または任命権者の許可を得ることで収益を得ることができることにはなっています(国家公務員法第103条第2項、地方公務員法第38条条)。

しかし、ゲーム実況でこの承認または許可を得ることはほぼ不可能です(人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)及び人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について)。

ゲーム実況は合法的な副業にはできない

ゲーム実況を合法的に副業にすることはできません。
たとえ少額であっても収益を得ることは法律違反です。

これからも公務員でありたいのであれば、収益化は危険な行為です。

公務員のゲーム動画投稿にかかる処分事例

公務員のゲーム動画投稿にかかる処分事例があります。

自衛隊員の副業ユーチューバーが停職4日の懲戒処分となった事例です。

自衛隊員なので通常の公務員とは違うところがあるのですが、参考になる事例です。

YouTubeで広告収入 陸上自衛隊の隊員、兼業で懲戒処分

 【宮古島】陸上自衛隊宮古島駐屯地は17日、2017年6月から19年3月にかけて、動画投稿サイト「ユーチューブ」にゲームの攻略動画を投稿し、約108万円の広告収入を得たとして、宮古警備隊の37歳男性3等陸曹を16日付で停職4日の懲戒処分にした。

 同駐屯地によると、広告収入を得ることは兼業に当たり、自衛隊法で定める職務上の義務違反に該当するとして処分した。

令和2年11月18日 沖縄タイムス+プラス
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/665352

まず、自衛隊員については副業制限の根拠規定は自衛隊法第62条になります。

(私企業からの隔離)
第62条 隊員は、営利を目的とする会社その他の団体の役員若しくは顧問の地位その他これらに相当する地位につき、又は自ら営利企業を営んではならない。
2 前項の規定は、隊員が、防衛省令で定める基準に従い行う防衛大臣又はその委任を受けた者の承認を受けた場合には、適用しない。

自衛隊法第62条

国家公務員法第103条とほぼ同内容の規定となっています。

また、懲戒処分の量定は「懲戒処分等の基準に関する達」に基づいています。

これによると、自衛隊法第62条違反のうち軽微な場合の量定は軽処分とするされています。
軽処分とは、5日以内の停職、減給合算額が俸給月額の3分の1を越えない減給又は戒告をいいます(「懲戒処分等の基準に関する達」第2条(3))。

今回の事例では軽微な場合とされ軽処分となっています。
しかし、軽処分といっても上限に近い重い処分となっています。
宮古駐屯地という最前線の規律維持のために重めの処分となったのかもしれません。

他の公務員も同様になるとは限りませんが、ゲーム実況で広告収入を得ると懲戒処分になるおそれがあります。

ゲーム実況が違法にならないように

収益化以外にもルール違反、特に法律に違反には注意が必要です。
ゲーム実況を続けられなくなるかもしれませんし、最悪の場合公務員を続けていくことも難しくなります。

国家公務員法・地方公務員法違反

収益化のほか、国家公務員法・地方公務員法の定める服務義務違反のせいで懲戒処分を受けることもあります(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)。
公務員である以上、一定の制約を受けることを忘れてはいけません。

信用失墜行為

実況中に公務員としてふさわしくない行動や発言があると、信用失墜行為にあたることがあります(国家公務員法第97条、地方公務員法第33条)。

  • 職務の公正性や中立性に疑義を生じさせる
  • 他人や組織を誹謗中傷する
  • 他人に不快・嫌悪の念を起こさせる
  • 他人の権利利益を侵害する
  • 公序良俗に反する
  • 差別的発言等社会規範に反する

等が信用失墜行為に当たるおそれがあります。
刹那的な面白さを求めて過激な発言をしてしまうと、後々自分を苦しめることになりかねません。

職務専念義務違反

公務員には職務専念義務が法定されています(国家公務員法第101条、地方公務員法第35条)。
出張中や残業時間を含む勤務時間中の実況や撮影はもちろん、編集や投稿も職務専念義務違反になります。

守秘義務違反

公務員が職務上知りえた秘密を実況動画で公開してしまうと、守秘義務に違反することになります(国家公務員法第100条第1項、地方公務員法第34条第1項)。

著作権法違反

ゲームは著作権法によって保護されています。
スクリーンショットを含むゲーム映像は、著作権法上「映画の著作物」として保護の対象となっています。

したがって、ゲーム映像の録画・撮影は「映画の著作物」の「複製」にあたり、動画投稿サイトで公開する行為は、著作権者の許諾を受けていない限り著作権侵害になります。

著作権の侵害は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれの併科、著作者人格権、実演家人格権の侵害等は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはこれの併科となっています。

名誉棄損罪

信用失墜行為にも関係しますが、実況中の発言が名誉棄損罪に当たる場合もあり得ます。

公然とある人に関する事柄を摘示し、その人の名誉を毀損した場合には、名誉棄損罪が成立します(刑法第230条)。
法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。

侮辱罪

名誉棄損罪とも関係しますが、事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した場合には、侮辱罪が成立します(刑法第231条)。
法定刑は拘留または科料となっています。

その他規約違反等

法律違反ではありませんが、投稿サイトの規約は遵守しなければなりません。
規約に違反したせいでせっかくの動画が削除されるのはもったいないですし、アカウント削除なんてことにもなりかねません。

公務員は身バレに注意

公務員のゲーム実況が問題になることがあります。

収益化して副業にすること等、国家公務員法・地方公務員法に抵触する行為は、公務員以外の方がしても問題ない行為です。
しかし、公務員がしていることは問題で、当局にばれれば懲戒処分の対象となります。

逆の言い方をすると、ゲーム実況者が公務員であることがばれなければ、問題は表面化せず、懲戒処分となることもなくなります。

実際、ばれずにゲーム実況をしている公務員もいることでしょう。

ネットでは簡単に身バレする

ただ、慎重に行動しないと簡単に公務員であることはばれてしまいます。

ネットでは職業バレから身バレまではあっという間です。
公務員がゲーム実況をしていることを問題と考える人がいて、そうした人たちは実況者の特定を試みます。
そして、実況動画やその他の情報から見事に人物を特定します。

意識しないような一言から公務員だということがわかってしまいます。
例えば、公務員とは違い、多くの民間企業の給料日は毎月25日です。
そうした小さな情報から公務員だとわかってしまいます。

実況動画の中に居住地域や勤務地など、細かい情報が残されています。
これらとネットに散らばる情報を総合して人物が特定されてします。

無用な疑いをかけられる

身バレしてしまうと後が大変です。
所属等に通報が行ってしまうと、身辺調査をされることにもなります。

収益化していなくても疑われてしまいます。
それまでは問題視されていなかった法律違反等も細かく調べられるようになります。

違反行為があれば厳しく対処されるでしょう。
なかったとしても、それまでのように自由な実況はできなくなります。

さらに職務にも影響があります。
要注意職員になってしまい、上司から監視されることにもなりかねません。

公務員は無用な疑いをかけられていいことはないのです。

若手職員は注意

若手職員は無用な疑いをかけられることがないように注意しなければなりません。
公務員は失敗を取り戻すことが大変です。
若いうちに失敗するとB級のコースに入れられてしまい、報われない公務員人生になることがあります。

中堅・ベテラン職員はもっと注意

中堅・ベテラン職員はもっと注意が必要です。
あと少しで逃げ切れる世代やこれからお金がかかる世代が小金ほしさで失敗してはいけません。
若手職員ならやり直せることもありますが、中堅・ベテランともなるとそれも困難です。
ネットでは簡単に身バレします。
自分は慎重に行動するから配はない、と思われている方ほど気を付けてください。
ネットを甘く見た人から痛い目を見ることになります。