見覚えの無い電話番号から着信、出てみると投資用マンションの勧誘電話だった、そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
仕事の邪魔でしかない投資用マンションの勧誘の電話ですが、気をつけなくてはならないことがあります。
目次
公務員に投資用マンションの勧誘電話はよくあること
職場の端から順番に投資用マンションの勧誘電話がかかってくる、なんてこともよくある話です。
あまりに頻繁なのでベテラン職員などはあしらい方がうまくなります。
ただ若手職員等の中には、なかなか電話を切ってもらえない、断っても何度も電話がかかってくる等、対応がうまくいかない方も多いようです。
営業マンが職場に来てしまい対応に困った、なんて職員もいるようです。
公務員は丁寧な接客を心がけているので
公務員は愛想が悪いといわれますが、実際は…一部の職員を除いて…そうでもありません。
接遇研修に力を入れ、慣れないなりに緊張感をもってよい接客を心がけています(そうしないとすぐ首長のところに電話やメールが行って、その対応に時間を取られてしまいますから。)。
その延長で勧誘電話にも対応してしまうのでしょう、まともに対応してしまい、なかなか電話を切ることができなくなっているのだと思われます。
ただ、そうした対応は業者の思うつぼです。
どんどん話を進めようとしてきます。
勝手に話を進められて職場に営業が来てしまった、ということになったのでしょう(職場に来る業者もどうかしているとは思いますが。)。
公務員がすべき勧誘電話への対応
では、こうした勧誘電話にどのように対応すればいいでしょう。
相手にしないことが一番
相手をしないことが一番です。
私的な電話にかかってきたのであれば、
「必要ありません」
と電話を切り、着信拒否すればいいですし、勤務先にかかってきたのであれば、
「仕事に関係ないお電話ですのでお切りします」
とだけ言って切ればいいのです。
相手の話を聞く必要はありません。
特に勤務中は毅然とした態度で
公務員が仕事と関係ないことに時間を使うのは職務専念義務違反、服務義務違反です。
勧誘電話は服務義務違反をさせようとしているものです。
職務を遂行するために毅然とした態度をとることが、公務員としてすべき行動になります。
失礼な対応だったと業者から苦情が入ったとしても、広報広聴課などがきちんと対応してくれます。
職員は拒否の意思を明確にして、電話を切りましょう。
それでも勧誘電話が続くのであれば、上司に相談して組織として対応してもらいましょう。
上司が対応を渋るのであれば、その上司に話を持っていきましょう。
しつこい業者は職員個人が対応するような相手ではありません。
住民や他の職員にこんな事態が今後起こらないためにも、組織としての対応を求めましょう。
東京都がおすすめする対応
東京都消費生活総合センターも次のような対応をすすめています。
・断っているにもかかわらず話を続けようとする勧誘電話は、相手に構わず電話を切ってしまいましょう。
「断る理由がないじゃないですか!」などと威迫して投資用マンションを強引に勧誘していた事業者に是正勧告https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/shobun/syobun151028.html
・勧誘を受けるか、契約するかは消費者の自由です。断る理由を言う必要はありません。
公的なお墨付きのある対応です。
安心して、毅然とした態度をとりましょう。
相手にしてしまうと大変
逆に、下手に相手をすると業者はどんどん話を進めようとしてきます。
そうした業者の営業にはマニュアルが配布されるそうです。
相手が根負けするまで話を続けることが基本になっていて、営業側が諦める選択肢がないものになっているといいます。
まともに相手をしていると、話に応じない限り無限ループにはまるようになっているわけです。
そもそもしっかり対応することが無理な相手なのです。
公務員の常識が通用しない世界もある
それに、役所に勧誘電話をかけてくるような相手です、公務員の常識は通用しないと考えたほうがいいです。
一例ですが、行政の是正勧告に従わない投資用マンションの販売業者もいます。
投資用マンションを販売している事業者が是正勧告に従わなかったため、公表します
ちなみにこの業者は現在違う名称になっているようです。
興味がある方は調べてみてはいかがでしょうか。
公務員の常識では、是正勧告が出たらそれに従うのが当然ですし、そもそも是正勧告が出ないように指導があった時点でやり方を変えます。
それに勧告の内容も厳しいものとは思えず、極めて常識的な内容に見えます。
・消費者が拒絶の意思表示をした場合には、電話機等で契約の締結を勧誘しないこと、又は契約を締結しないこと。
東京都生活文化局 報道発表資料
・法令又はこの条例に定める書面を消費者に交付する義務その他事業者が消費者に情報を提供する義務に違反して契約の締結を勧誘しないこと、又は契約を締結しないこと。
・消費者を威迫して困惑させ、又は迷惑を覚えさせるような方法で、契約の締結を勧誘しないこと、又は契約を締結しないこと。
・消費者のクーリング・オフの権利の行使に際し、当該権利の行使を妨げ、契約の成立又は存続を強要しないこと。
投資用マンションを販売している事業者が是正勧告に従わなかったため、公表します
彼らと公務員、どっちが特殊な世界なのかはわかりませんが、公務員の常識が通用しない世界もあるのです。
ある種のパラレルワールドです、不用意に足を踏み込まないほうがいいでしょう。
なぜ業者は勧誘電話をかけるのか?
投資用マンションの勧誘電話は昔から行われています。
決して成功率が高いとはいえず、やる方にもやられる方にも嫌われている手法ですが、それでも勧誘電話を続けている業者はまだまだたくさん存在します。
Web広告も増えてきていますが、多くの業者で有効な営業手法として使われています。
それは、勧誘電話は儲かるからです。
勧誘電話は費用がかからない
投資用マンションの見込み客はそれほど多くはいません。
そのため、営業は数をこなすことが必要になります。
この点、勧誘電話は数をこなしてもそれほど費用がかかりません。
勧誘電話は、電話と名簿さえ用意すれば実行できます。
専用の施設は不要ですし、ある意味やる気さえあればできるものです。
名簿は専門業者から購入できますし、公務員は職場名簿がネットなどで公開されていることもあり、容易に入手可能です。
実際、携帯電話と名簿を使って、ものすごい数の勧誘電話をかけている業者もいるようで、営業1人が1日500件以上のノルマを課されていることもあるといいます。
また、勧誘電話自体は法に触れるものではありません。
嫌われてはいるものの、禁止はされていませんから、零細業者であってもやる気さえあれば数はこなせます。
投資用マンションは利益が大きい
投資用マンションは数は売れませんが、1件当たりの利益は大きくなります。
というよりも、そうなるように大きな利益を乗せて販売しています。
不動産取引は高額になることが普通なので、利益を乗せやすくなります。
しかも自ら売主になれば、仲介と違って利益に制限がなくなります。
1件で数百万円、数千万円の利益を上げることも不可能ではありません。
勧誘電話は証拠が残りにくい
どれほど高い価格になったとしても買主が納得すれば売買は成立するので、業者はそうした気のいい買主を見つけることに力を入れます。
すると、強引な方法を使ってでも買主を見つけようとする業者が出てきます。
ただ、強引な方法は規制の対象になることがほとんどで、行政機関や警察等に相談されれば行政指導や処罰の対象になりかねません。
この点、電話だと強引な方法を使っても、ほとんどの場合証拠が残りません。
証拠がなければ行政機関や警察も動きにくくなります。
もちろん、そんな不埒な業者は一部なのでしょうが、不埒な業者にとって勧誘電話は便利な道具なのです。
投資用マンションの勧誘電話を相手にする必要はほぼない
確かに、投資用マンションの勧誘電話の中にはまともな業者からのものがあるかもしれません。
儲かる物件を紹介していることがないとは言い切れません。
それに、相手も人間だから失礼のない対応をする必要がある、という考えもあるかもしれません。
それでも勧誘電話にまともに対応する必要はありません。
自分と関係ない電話は間違い電話と同じです。
かけるところを間違っていると指摘して電話を切ればいいだけです。
それに、相手も断られることを前提に関係のないところに電話をしているのですから、それを断っても失礼にはならないでしょう。
何より自分と家族の身を守るためにも、毅然とした態度をとるべきです。
夢のない話をすると
それと、夢のない話ですが、儲かる不動産投資の案件は人脈から来ることの方が多いです。
知人や仕事上つながりのある人や業者等で、信用できる人たちがいい話を持ってきてくれることの方がずっと多くなります。
だから、昔ながらの不動産会社の社長は遊びまわって人脈維持に奔走しているのです。
少なくとも何の関係もない人が持ってくる儲け話よりも、信用できる人が持ってくるものの方がずっと確実です。
ただ、公務員は収賄になる危険があるので注意は必要になりますが。