公務員が副業として風俗店で働いていたために懲戒処分になった事例が報道されることが多くなりました。
報道された事例にはいくつか特徴があります。
目次
公務員が風俗店で副業した懲戒処分事例
公務員が風俗店で副業した結果、懲戒免職となった事例があります。
東京国税局・懲戒免職
「街中でスカウトされ」税務署の女性職員が風俗店8店舗で兼業…165日働き収入826万円
東京国税局は23日、国家公務員法の兼業禁止規定に違反して風俗店で働いたとして、都内の税務署に勤務する女性職員(24)を懲戒免職処分とした。発表によると、女性職員は昨年4月から約1年間、平日の夜間のほか、病気休暇を申請するなどし、都内外のソープランドやデリバリーヘルス8店舗で計165日働き、計約826万円の収入を得ていた。
今年7月、外部からの情報提供で兼業が発覚し、女性職員は調査に対して「ホストクラブでの飲食代を捻出するためだった。街中でスカウトされて働くようになった」などと話しているという。
読売新聞オンライン 令和4年12月24日
https://www.yomiuri.co.jp/national/20221223-OYT1T50413/
虚偽の病気を理由に病気休暇を申請したことや職員親睦会費26万円を持ち出したことなども報道されています。
ホストクラブへの支払い等で金銭的に大きな問題を抱えていたのでしょう。
公務員が副業制限に違反したことを理由に懲戒免職となった珍しい事例です。
もっとも、期間が長かったことや収入合計額が大きかったこと、虚偽の病気休暇申請や職員親睦会費の持ち出しなど、他にも問題行動があったようです。
また、職員が税務申告をしていなかったとの一部報道もあり、不申告が決定打になったのかもしれません。
このほか、風俗店で副業をしていたとして懲戒処分になった事例は、警察関係者についてものが多く報道されています。
大阪府警・減給10分の1(3カ月)
大阪府警の20代女性職員、風俗店に勤務「月に20万円稼いだ」
大阪府警運転免許課の20歳代の女性職員が、風俗店に勤務し、減給3か月(10分の1)の懲戒処分を受けていたことが府警への取材でわかった。職員は昨年春に依願退職した。警察は地方公務員法で原則、副業を禁じており、府警は「職務に影響を及ぼす行為で、再発防止に努める」としている。
府警監察室によると、女性職員は2018年春頃から府内の風俗店に勤務。昨年春、府警に匿名の通報があり発覚した。内部調査に「約1年間働き月約20万円稼いでいた。遊興費に使っていた」と説明したという。
読売新聞オンライン 令和2年2月7日
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200207-OYT1T50106/
このほかにも風俗店で副業をしていたとして懲戒処分を受けた事例が報道されています。
山口県警・減給10分の1(1カ月)
巡査が風俗店でバイト、懲戒処分 8万円「生活費に…」
山口県警下関署の女性巡査が風俗店でアルバイトをして報酬を得ていたとして、減給10分の1(1カ月)の懲戒処分を受けていたことが分かった。巡査は、処分が出た昨年12月18日に依願退職した。
県警監察官室によると、女性巡査は昨年9~11月、福岡県内でアルバイトをして約8万円の報酬を得ていた。捜査関係者によると、巡査は下関署所属で、福岡県内の派遣型風俗店で働いていたという。
昨年11月に県警に情報提供があり、女性巡査が「生活費の足しにしたかった」と認めた。
朝日デジタル 平成31年1月31日
https://www.asahi.com/articles/ASM103JH7M10TZNB007.html
山口県警
平成31年1月31日報道
平成30年12月18日付 減給1/10(1カ月)
同日付依願退職
兵庫県警・停職1カ月
風俗店でバイト、女性巡査長処分 9月に拳銃置き忘れも
兵庫県警の女性巡査長(27)が風俗店でアルバイトをしていたなどとして、県警が18日付で停職1カ月の懲戒処分としたことがわかった。巡査長は9月、駅のトイレに拳銃を忘れて一時紛失する不祥事も起こしており、これらを合わせて処分を決めたという。
県警関係者によると、巡査長は鉄道警察隊の所属で、今年5~9月ごろ、大阪市内の風俗店などで働いていたという。計約30万円の収入を得ており、「遊ぶ金がほしかった」と話しているという。巡査長は警戒勤務中の9月29日夕、JR相生駅のトイレに拳銃を置き忘れ、約1時間半後に利用客が発見した。巡査長は18日付で依願退職したという。
朝日デジタル 令和元年10月18日
https://www.asahi.com/articles/ASMBK5R8LMBKPIHB01K.html
兵庫県警
令和元年10月18日報道
令和元年10月18日付 停職1カ月
同日付依願退職
兵庫県警の事例は駅構内のトイレに拳銃や手錠を置き忘れ、その調査の過程で副業が発覚したものです。
センセーショナルに報道されましたから、ご記憶の方も多いかと思います。
この事例は、トイレに拳銃や手錠を置き忘れたという重大な事案が発端となっているので、単純な比較はできないかもしれません。
公務員の風俗店での副業は危険
公務員の風俗店での副業は危険がとても大きいものです。
発覚しやすくて危険
風俗店での副業は、通報から発覚することが多いことです。
東京国税局の事例では外部からの情報提供で発覚したとなっています。
兵庫県警の事例では、他の案件の調査過程で発覚していますが、山口県警及び大阪府警の事例では通報により発覚しています。
- 顧客同士の噂が広まりやすいこと
- 比較的時間をかけて顔を合わせるため顔バレ・身バレの危険が高いこと
- 顧客同士の噂が広まりやすいこと
- 通報されやすいこと
等の理由からだと思われます。
官公庁勤務と風俗店勤務とはギャップがあり、興味をひくものです。
人の興味を引くものですから、その噂はいろいろな情報経路で広まってしまいます。
噂の受け取った側も興味本位なのか、正義感なのか、事の真偽を確かめたくなるのでしょう。
真実と知れると、これも興味本位なのか、正義感なのか、通報をしたくなるのだと思います。
風俗店での副業は顔バレ・身バレしやすく、通報もされやすい、公務員にとって最悪の副業の一つでしょう。
懲戒処分が重くなりがちで危険
職に貴賤はないといわれますが、風俗店で働くことにいい印象を持っていない人は少なくありません。
ましてや、公務員が風俗店で副業をしていることを好意的に見る人は決して多くはないでしょう。
職員個人に対してはもちろん、役所にも圧倒的多数の批判が浴びせられます。
役所はこうした批判を無視することはできませんから、より重い制裁を加えるように動いていきます。
そのため、公務員の風俗店での副業は処分が重くなる傾向があります。
東京国税局の事例では懲戒免職となっていますし、警察の事例ではいずれも懲戒処分を受けた同日付で依願退職しています。
報道されがちで危険
懲戒処分が公表されたとしても、マスコミに取り上げられるかどうかで世間への伝わり方が大きく違ってきます。
公務員が風俗店で働いていた、という情報には強いインパクトがあるようです。
マスコミもニュースバリューがあるものと考えているようで、記事化されることが多くなります。
国民・住民は暇ではないので、役所が公表したとしても世間にはほとんど知られません。
しかし、マスコミが取り上げたとなると、まったく違った広がり方になります。
普通の、普段は役所などに関心のない人も知るようになります。
地域社会で、風俗店で働いていたこと、懲戒処分を受けたことなどが知れ渡ると、生きていくのに何かと面倒です。
公務員の副業に風俗店は向いていない
あえて書くまでもないかもしれませんが、公務員の副業に風俗店で働くことは向いていません。
確かに、得られる収入は多いかもしれません。
しかし、
- 顧客同士の噂が広まりやすいこと
- 比較的時間をかけて顔を合わせるため顔バレ・身バレの危険が高いこと
- 通報されやすいこと
- 懲戒処分が重くなりがちなこと
- 報道されがちなこと
など、あまりにもリスクが高いからです。